丸紅は、発電所の運用コスト削減のため米ゼネラル・エレクトリック(GE)が提供するIoT(インターネット・オブ・シングズ)システム基盤「Predix」を導入する。2017年4月19日時点で、完全子会社である丸紅火力が運営する千葉県袖ケ浦市の火力発電所に導入を進めている。2018年中にも運用を始める見込みだ。

 PredixはIoTシステムの構築・運用基盤。センサーや機械制御システムに導入するソフト「Predix Machine」を使ってデータを収集し、アプリケーションの開発・実行環境「Predix Cloud」上のシステムを使って収集したデータを分析する。稼働実績データや機械の構造データを分析して、効率の良い運転方法を機械の運用担当者に提案できる。

 丸紅はシステム導入により、発電効率を高めて燃料消費量を抑える狙い。IoTシステムを導入する千葉県袖ケ浦市の火力発電所は、燃焼エネルギーから電気エネルギーを得る変換効率が高い「コバインドサイクル発電」を採用している。Predixを使ったIoTシステムを導入することで、「高いエネルギー変換効率を維持したまま、供給する電力量を調整する運転がしやすくなる」(GEジャパンの広報担当)という。

 丸紅は火力発電所のほかに、完全子会社である丸紅新電力などが運営する太陽光発電所や風力発電所といった自然エネルギーを使った発電所も運営している。自然エネルギー由来の発電所は発電量が変動しやすいが、火力発電所の発電量を変化させることで、電力の安定供給と発電所の運用コスト削減の両立がしやすくなる。

 丸紅はIoTシステムを国内外で複数の火力発電所にも導入できないか検討しているという。「それぞれで導入する発電タービンや制御システムは国や地域によって異なる」(丸紅の完全子会社である丸紅パワーシステムズの広報担当者)が、Predixによって「他社製の機械制御システムからでもデータを収集でき、センサーの追加設置もできる」(GEジャパンの広報担当)からだ。