東京エレクトロン デバイスは2017年4月18日、セキュリティ企業の米TrapX Security(以下TrapX)と販売代理店契約を結び、デコイ(おとり)を使った出口対策セキュリティソリューション「Deception GRID」を販売すると発表した。2020年までに関連技術を市場に浸透させ、その後の5年間で5億円の売り上げを見込んでいる。

 Deception GRIDは、標的型攻撃の攻撃者に対して、偽の情報を与えるセキュリティソリューション。存在しない仮想の端末のデコイに誘導することで、重要なサーバーへの侵入や内部への攻撃を食い止める。Sensor Applianceと呼ぶデコイを生成・配置するセンサーで、ネットワーク内にデコイを複数用意。実端末のメモリー上に罠を仕掛け、実端末が攻撃を受けたらデコイへ誘導する。

Deception GRIDの概念図。攻撃者が実端末を攻撃すると、そこに仕掛けられた罠からデコイに誘導されていく
Deception GRIDの概念図。攻撃者が実端末を攻撃すると、そこに仕掛けられた罠からデコイに誘導されていく
(撮影:下玉利 尚明、以下、同じ)
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 同ソリューションは、デコイを生成するTrap X(Virtual)アプライアンス、管理ツールのTrap X マネジメントコンソール、デコイに誘導する罠の情報となるトークンから構成され、脅威情報なども提供する。東京エレクトロン デバイスが導入から運用までをサポート。導入費用は、企業規模やネットワークの状況などに応じて配布するトークンやデロイの数、生成したデコイを設置するネットワークの数などによって算出する。

 東京エレクトロン デバイス 執行役員 CNカンパニー カンパニー バイスプレジデント CN技術本部 本部長の岩田 郁雄氏は、「多層防御などのセキュリティ対策をとってもリスクをゼロにはできない。Deception技術は、ファイアウォールなどを突破して企業内ネットワークに侵入されても、攻撃者を『おとり』に誘導して対処できる」と優位性を語った。

東京エレクトロン デバイス 執行役員 CNカンパニー カンパニー バイスプレジデント CN技術本部 本部長の岩田 郁雄氏
東京エレクトロン デバイス 執行役員 CNカンパニー カンパニー バイスプレジデント CN技術本部 本部長の岩田 郁雄氏
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 TrapX社CEOのGreg Enriquez氏は、「2012年の創業以来、既に200社以上にDeception GRIDを導入してきた実績がある」と紹介。今回、東京エレクトロン デバイスと日本における販売売代理店契約を締結し、日本市場への初参入を果たしたことで「今後、通信事業者はもちろん、製造や金融、医療など、より高度なセキュリティが求められる業種にDeception GRIDを展開していきたい」と抱負を語った。

TrapX Security CEOのGreg Enriquez氏
TrapX Security CEOのGreg Enriquez氏
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