さくらインターネットは2017年4月18日、通信モジュール・通信回線・データ収集サービスを一体提供する「sakura.io」の提供を始めた。各種センサーがデータを収集・分析するIoT(インターネット・オブ・シングス)の開発者や個人向けに販売する。価格は最小構成で1台8000円(税別)から。2017年度内に10万モジュールの出荷を見込む。

 sakura.ioは、さくらインターネットが開発した通信モジュール、同社が用意する閉域の携帯電話網(LTE)、さくらインターネットのデータセンターに格納したデータをプログラムから入出力できるAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)で構成するサービス。IoTを活用した機器やサービスの開発に必要な要素を一括提供する。「いわば電気信号とJSONの変換サービス。認証やIoTデバイスの連携ではなく、サービス開発に専念できる」(さくらインターネットIoT事業推進室の山口亮介室長)という。

さくらインターネットIoT事業推進室の山口亮介室長
さくらインターネットIoT事業推進室の山口亮介室長
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 ハードウエアとして提供するのは、SIMカードを含むLTE通信モジュール、通信モジュールに開発時に使う外部インタフェースを付加するブレイクアウトボード、マイコンボード「Arduino」に通信モジュールを装着するためのArduinoシールドの3つ。価格は通信モジュールが8000円、ブレイクアウトボードが2500円、Arduinoシールドが5000円(いずれも税別)。通信モジュールについては90台で58万5000円(1台当たり6500円、税別)のセットも用意する。このほか、通信モジュールの製造に必要な機器やファームウエアのライセンス契約に個別対応する。

IoT構築基盤「sakura.io」のハードウエア製品
IoT構築基盤「sakura.io」のハードウエア製品
右から、SIMカードを含むLTE通信モジュール、通信モジュールに開発時に使う外部インタフェースを付加するブレイクアウトボード、マイコンボード「Arduino」に通信モジュールを装着するためのArduinoシールド
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 通信サービスとしては、ソフトバンクのLTE回線を利用する。さくらインターネットのデータセンターと専用線で接続し、エンド・ツー・エンドの暗号化通信を実施する。利用料は1台当たり月額60円。間欠的にデータを送受するIoTの利用形態に合わせて、ポイント制で課金する。具体的には、月額60円の料金に対して1万ポイントを付与。1回のデータ転送で1ポイントを消費する。8バイトのデータに、整数か、浮動小数点かといったデータ型と時刻情報をヘッダーとして付けた転送単位を「チャネル」とし、最大で16チャネルを1回のデータ転送で送出可能だ。ポイントは100円で2万ポイントを追加できる。

IoT機器からデータセンターまでを閉域網で接続。外部からはAPIを通じてデータにアクセスする
IoT機器からデータセンターまでを閉域網で接続。外部からはAPIを通じてデータにアクセスする
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 データ収集サービスは、通信モジュールから送出されたデータをデータ型と時刻情報と共に、Webアプリケーションで一般的なJSON形式で格納。格納したデータはWebクライアントでデータを受信できるWebSocketなどのAPIを通じて利用できる。米Amazon Web Servicesの「AWS IoT」などのクラウドサービスとの連携も可能だ。

 sakura.ioは、2016年11月から提供している「さくらのIoT Platform β」の正式版に当たる。正式版では、携帯電話の基地局情報を使った簡易位置情報機能とIoTデバイスからのファイル転送機能を追加した。簡易位置情報機能は1通信モジュール当たり月額30円で提供する。ファイル転送は512バイト当たり1ポイントを消費する。

 今後は、2017年6月中にPCボード「Raspberry Pi」に通信モジュールを装着するアダプターを提供する予定(価格は5000円、税別)。2017年6月から2.4GHzまたは920MHz(LoRa)の通信モジュールを10社程度のテストユーザーに先行提供する計画だ。それらの低消費電力モジュールからの無線通信をゲートウエイで集約してからLTE網にデータを送出する「ゲートウェイ方式」を用意する。これにより、電源や設置面積の面で制約がある小型機器をIoT化しやすくする。

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■変更履歴
記事公開当初、「月額100円で2万ポイントを追加できる」としていましたが、正しくは「100円で2万ポイントを追加できる」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/04/19 11:00]