オリックスは2017年4月14日、人工知能(AI)技術と会計ソフト「弥生」のデータを組み合わせて与信モデルを開発し、小規模事業者を対象とした融資事業を始めると発表した。グループ会社の弥生が持つ会計ソフトのデータを基に、データ分析サービスのd.a.t.が開発する機械学習や自然言語処理を活用して与信モデルを構築する。審査はインターネット経由で実施し、手続きの簡素化や迅速な融資を実現する。

 当初は弥生のオンラインサービスを契約する約60万社の顧客を対象に、2017年10月をメドに試験的に融資を始める。オリックスは本格的な融資事業の立ち上げを2018年と見込む。

 現在の一般的な事業者向け融資は、決算書の情報などをもとに与信審査を実施している。今回の融資事業では、まず弥生が持つ顧客の仕訳データなどを匿名化した上で分析し、与信モデルを作成する。この与信モデルに基づき、資金調達を望む事業者を審査する。

 d.a.t.が持つ機械学習や自然言語処理の技術で仕訳データなどを分析することにより、高い与信精度が期待できるという。「AI与信モデルにより、顧客は金融機関への訪問や煩雑な資料提出、長期の与信審査が必要なくなる。例えば、銀行で1カ月程度が必要な手続きを、将来的には即日で実現したい」(オリックス グループ広報部)。

 弥生は2017年2月、今回の融資事業の運営会社としてALTを設立済み。オリックスの持つ与信事業のノウハウと弥生の会計データをALTに持ち寄り、日本におけるオンラインレンディング市場の拡大を目指す。ALTは、将来的にAI与信モデルを金融機関で活用することも視野に入れており、すでに複数の地方銀行と業務提携契約を締結している。