キリングループの飲料自動販売機運営企業であるキリンビバレッジバリューベンダーとLINEは2017年4月13日、スマートフォンのLINEアプリとの通信機能を持つ新型自販機「Tappiness(タピネス)」の展開を同日から始めたと発表した。

キリンビバレッジバリューベンダーの新型飲料自販機「Tappiness(タピネス)」と同社の岩田実・代表取締役社長、LINEの出澤剛・代表取締役社長(左から)
キリンビバレッジバリューベンダーの新型飲料自販機「Tappiness(タピネス)」と同社の岩田実・代表取締役社長、LINEの出澤剛・代表取締役社長(左から)
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 既設の自販機に「LINEビーコン」(Bluetoothビーコン)の発信機を追加する改修を順次進める。まず4月中に首都圏と近畿圏で約1000台を展開。1年後には全国で2万台まで増やす計画だ。

 Tappinessのサービスを利用するには、LINEアプリをインストールしたスマートフォンで、Bluetooth通信機能をオンにしておく必要がある。自販機正面中央部にあるビーコン発信機にスマートフォンをかざすと、両者がペアリングされて利用可能な状態になる。

自販機とスマートフォンを「LINEビーコン」(Bluetoothビーコン)でペアリングしたところ
自販機とスマートフォンを「LINEビーコン」(Bluetoothビーコン)でペアリングしたところ
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 Tappinessで飲料を購入する際の決済には現金や電子マネー(対応機の場合)に加えて「LINE Pay」や「特典チケット」が使える。飲料を購入すると1本につき1ポイントがたまり、15ポイント集まると特典チケットが配信される。

 特典チケットは次回購入時に無料ドリンク1本と交換できる。LINE上の友だちにトークで送信してドリンクをプレゼントすることもできる。

 キリンビバレッジバリューベンダーの岩田実・代表取締役社長は「スマートフォンと自販機を結びつけることで購買データの分析や、対象を絞った効果的な販促を強化したい。そのためには、独自のスマートフォンアプリを普及させるのではなく、日常的に利用する人が多いLINEアプリを使うのが早道だと考えた」と話した。

 LINEの出澤剛・代表取締役社長は「LINEは人と人をつなげることを目指したサービス。企業と顧客をつなげることも重視してきた。さらにLINEビーコンを活用することで、自販機を含めたオフラインの場所とオンラインの場をシームレスにつなげる取り組みを広げていく」と述べた。

 スマートフォンと飲料自販機の連携には各社が取り組んでいる。日本コカ・コーラは「Coke ONアプリ」とBluetoothビーコンで自販機と通信し、ポイント付与などを行う仕組みを運用している。JR東日本ウォータービジネスも2017年3月に「acure passアプリ」と自販機をQRコードを介して連動させる取り組みを始めた。

 いずれも最初に専用アプリをインストールする必要がある。キリンビバレッジバリューベンダーは、月間アクティブユーザー約6600万人というLINEのユーザー基盤を生かすことで、Tappiness利用を早期に浸透させる方針だ。