ウェアラブルデバイスを手掛けるフィットビット・ジャパン合同会社は2017年4月13日、心拍数を継続的に記録し睡眠の状態を把握できるリストバンド型デバイス「Fitbit Alta HR」シリーズを4月中旬から発売すると発表した。専用のスマートフォンアプリを連携して質の高い睡眠を得るためのアドバイスも受けられる。同社 ビジネスデベロップメントマネージャーの千川原智康氏は「睡眠の状態を『浅い睡眠』、『深い睡眠』、『レム睡眠』というように分析して把握できるのが特徴」と説明。いわば、睡眠を可視化して「睡眠の質を高めることができる」と製品の魅力を紹介した。

 2モデルを発売する。通常モデルの「クラシックエディション」とリストバンドに金メッキを施すなど装飾性を高めた「スペシャルエディション」だ。どちらも4月17日からAmazonなどでのオンライン先行予約を受付け、4月24日からECサイトで販売を開始。5月中旬以降には家電量販店など店頭でも発売する。

 参考小売価格は「クラシックエディション」が2万1384円(税込)、「スペシャルエディション」が2万5704円(税込)。同社は販売目標を明らかにしていないが、「既にかなり多くの引き合いが来ている」(千川原氏)という。「個人ユーザーだけでなく、従業員の睡眠改善に取り組む企業などからも導入を検討したいという声をもらっている。BtoCに限らず、BtoE(Employee:従業員)の製品でもある」(千川原氏)と市場拡大の可能性を述べた。

フィットビット・ジャパン合同会社 ビジネスデベロップメントマネージャーの千川原智康氏(撮影:下玉利尚明、以下同)
フィットビット・ジャパン合同会社 ビジネスデベロップメントマネージャーの千川原智康氏(撮影:下玉利尚明、以下同)
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クラシックエディションはリストバンドのカラーがブラック、ブルーグレー、コーラル、フューシャ(赤紫)の4色ある
クラシックエディションはリストバンドのカラーがブラック、ブルーグレー、コーラル、フューシャ(赤紫)の4色ある
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 続けて、千川原氏は「Fitbit Alta HR」の機能の詳細を説明。「従来モデルのFitbit Charge 2より25%スリムになったが、最長7日間持続するバッテリーを搭載。より軽量で長持ちするようになった」と紹介した。「Fitbit Alta HR」は、心拍数を継続的に記録する「PurePluse 心拍計テクノロジー」を備えるので、睡眠中の心拍数の変化を詳細に計測できるという。心拍数の変化に基づき「浅い睡眠」や「レム睡眠」など睡眠の状態を分析する「Sleep Stages」機能、その分析から睡眠の質を高める方法を利用者ごとに個別にアドバイスする「Sleep Insights、いわば睡眠ガイドの機能も備えているのが特徴」(千川原氏)と強調した。

 千川原氏は「欧州のある調査によると、日本全体で睡眠不足による経済損失は1380億ドルにも達するという。睡眠を可視化することで『よく眠り』、そして『よく集中して働く』という文化を日本社会に定着させていきたい」と抱負を語った。

「Sleep Insights」の機能はいわば「睡眠ガイド」。よりよい睡眠のためのアドバイスを受けられる
「Sleep Insights」の機能はいわば「睡眠ガイド」。よりよい睡眠のためのアドバイスを受けられる
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「良い睡眠を取ることはビジネススキルの一つ」、睡眠コンサルタントの友野なお氏が講演

 新製品発表会の後半は、睡眠コンサルタントでSEA Trinity 代表取締役の友野なお氏が登壇。 「身体・心・思考・人生が変わる! 科学で証明される眠りの効果」と題する講演を行った。友野氏は、「OECDが各国の睡眠時間を調査した結果、日本人の睡眠時間は世界で2番目に短かった」と指摘。しかも、日本大学医学部の研究グループの調査によると睡眠不足による経済損失は日本全体で約3.5兆円にも達するという。そこには、作業効率の低下、ミス、遅刻、早退、欠勤による損失も含まれている。「きちんと寝ること、良い睡眠を取ることは重要なビジネススキルの一つ」と述べ、睡眠の重要性を示した。

睡眠コンサルタント/産業心理カウンセラーでSEA Trinity 代表取締役の友野なお氏
睡眠コンサルタント/産業心理カウンセラーでSEA Trinity 代表取締役の友野なお氏
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