米Appleは今秋発売を予定している次期iPhoneに関して、生産上の問題に直面していると、複数の米メディア(Mac RumorsAppleInsider9to5Macなど)が現地時間2017年4月12日、アナリストの調査報告を引用して伝えた。これによりOLED(有機EL)ディスプレーを搭載する、次期iPhoneの上位モデルは出荷時期が大きくずれ込む可能性があるという。

 これは、米金融サービス会社Cowen and Companyのアナリスト、Timothy Arcuri氏が顧客向けの調査ノートで報告したもの。Appleが2017年に発売するiPhoneは、現行モデルと同様に4.7インチおよび5.5インチの液晶ディスプレーを備える2モデルに加え、 5.8インチOLEDディスプレーを備える最上位モデルが用意されると見られている。

 Arcuri氏によると、このうちOLEDディスプレー搭載モデルでは物理的なホームボタンが廃止され、指紋認証機能の「Touch ID」は、ディスプレー下部に組み込まれる。しかし、Appleが買収したAuthenTecの技術をベースにした指紋認証技術では歩留まりが悪いという問題がある。もしAppleがこの問題を解決できない場合、次ぎの3つのシナリオが考えられるとArcuri氏は指摘している。

(1)5.8インチOLEDディスプレー搭載の最上位モデルには「Touch ID」を搭載せず、顔認証/虹彩認証機能のみ搭載する。しかしこれでは、セキュリティ上のリスクがあり、Apple Payのサービスに問題が生じる恐れがあるという。

(2)先ごろ韓国Samsung Electronicsが発表した「Galaxy S8」のように、指紋センサーを本体背面に移動する。しかしこの方法では、使い勝手が悪くなり、最適な解決策とは言い難いという。

(3)Appleは例年どおり、新型iPhoneの全モデルを9月に発表するが、最上位モデルは生産開始時期を遅らせる。

 Arcuri氏によると、Appleは2017年5月までに、指紋認証の最終技術仕様をまとめたいと考えている。しかし歩留まり問題が解決しない場合、最上位モデルの生産開始は9月にずれ込む可能性がある。Appleは例年、新型iPhoneの生産を7月後半から8月に始めるという。生産開始の遅れより、最上位モデルは当初、極めて品薄になるか、年末まで顧客の手元に届かない恐れがあるとArcuri氏は予測している。