京セラコミュニケーションステム(KCCS)は2017年4月11日、IoT向けのネットワークを提供する「SIGFOXネットワークサービス」の開業式を催した。

 SIGFOXは、低消費電力と長距離伝送が特徴のネットワーク技術であるLPWA(Low Power, Wide Area)の一種で、仏シグフォックスの技術である。SIGFOXのネットワークは、日本ではKCCSが仏シグフォックスのパートナーとして独占展開する。KCCSのパートナー企業が、SIGFOXの販売やSIGFOX対応機器の開発などを手掛ける。

 開通式では関係者によるテープカットのほか、講演で日本における事業展開や事例などを紹介した。また会場の一角には、KCCSのパートナー企業による展示スペースが設けられた。

SIGFOX開業式でのテープカットの様子
SIGFOX開業式でのテープカットの様子

 日本における事業展開は、KCCS LPWAソリューション部責任者の大木浩氏が説明した。4月10日現在、同社のパートナーは94社。SIGFOX対応の日本向け通信モジュールは、SMK、村田製作所、イノコムモバイルテクノロジー、ワイソルが量産受け付けやサンプル提供を始めている。

 SIGFOXのサービスは2月27日に東阪エリアで提供を開始。KCCSが大阪市内で車を走らせてフィールド試験を実施したところ、96%の測定地点で基地局3局以上と通信可能だったとしている。「期待値通りのエリアを作れた」(大木氏)。また非公式に、大木氏と営業担当者で新大阪や心斎橋を中心に屋内やビル間、エレベータ―の中、トイレの中などで試しても、9割以上のケースで通信できたという。

 今後のエリア展開は、2018年3月までに政令指定都市を含む36の主要都市、2019年までに全国(人口カバー率85%)、2020年3月までに全国(人口カバー率99%)に拡大する計画だと説明。大木氏は「利用が見込める地域には優先的に基地局を設定していきたい」と話した。実際に、2018年3月までの主要都市への展開に関しては、札幌、名古屋、福岡の各市は、需要が見えているためネットワーク構築を優先するという。大木氏はパートナー企業などに対して、「LoRaWANによるネットワーク構築の提案を考えているなら、是非当社に相談してほしい」と訴えた。

 早期の導入事例としては、アイ・サイナップによる宅配ピザ店(ストロベリーコーンズが運営する「ナポリの窯)の冷蔵庫、冷凍庫および作業空間の温度監視、および「SIGFOX自動検針コンソーシアム」(アズビル金門、第一環境、KDDI、KCCSの4社で構成)による、離島や山間部などの遠隔地における水道の自動検針サービスに向けた取り組みを紹介した。