米Qualcommは現地時間2017年4月11日、半導体ライセンスを巡り米Appleが同社を訴えている問題で、Appleを反訴したことを明らかにした。

 Qualcommは、「当社の基本的な携帯電話技術なくして、Appleは自身を世界で最も利益性の高い企業たらしめるiPhone事業を展開することはできなかった」と述べている。

 Appleは1月、Qualcommが半導体のライセンス料を過剰請求しているほか、リベートの支払いを保留していると主張し、Qualcommを提訴した。

 これに先立ち、米連邦取引委員会(FTC)もQualcommが半導体のライセンス供与で反競争的手法を用いているとして同社を提訴している。

 QualcommはAppleの訴えに対する答弁書をカリフォルニア州南部の連邦地方裁判所に提出し、同社がライセンスプログラムを通じて自社技術を業界と共有することで業界に貢献していると主張。Qualcommが公正で合理的かつ差別のない(FRAND:Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)条件のもとでライセンス供与する標準必須特許の使用について、Appleは誠実な姿勢で交渉することを怠ったと説明した。

 また、AppleがQualcommとの合意に反し、事実と異なる情報提供によってiPhoneやiPadを製造するライセンシーとQualcomm間の長期的合意を妨害したと批判。Appleが事実をねじ曲げて虚偽の申し立てをすることで、世界各国の規制当局がQualcommを攻撃するよう促したとしている。

 さらに、Appleが「iPhone 7」に搭載するQualcomm製モデムチップの性能を抑え、他社製モデムチップを搭載したものと性能差がないように見せかけたこと、それについて公表しないようQualcommに圧力をかけたことも明かした。

 なおAppleは中国でも半導体ライセンスに関してQualcommを相手取った訴訟を起こしている。Qualcommが中国の独占禁止法に違反し、標準必須特許に関して不公正なライセンス契約を強要しているとして2件の訴訟を申し立てた。

 Qualcommは以前にも中国で1年以上にわたる独占禁止法違反の調査を受け、2015年2月に60億8800万人民元の罰金支払いと改正プランの履行などを条件に中国当局と和解した。また、2016年12月には韓国の独占禁止当局から1兆300億ウオンの制裁金の支払いを命じられている。

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