ストレージ専業ベンダーのピュア・ストレージ・ジャパンは2017年4月11日、フラッシュメモリーのみで構成した高速ストレージ装置「FlashArray//X」を発売した。新設計のフラッシュメモリーモジュールによってデータ転送速度を従来機の最大2倍に高速化。転送遅延は半減させた。出荷開始は2017年4月末を予定する。価格は個別見積もり。

米ピュア・ストレージの「FlashArray//X」
米ピュア・ストレージの「FlashArray//X」
きょう体の上にある手前のモジュールが新設計の「DirectFlashモジュール」
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 FlashArray//Xは、同社製品の最上位機に当たる。従来機のFlashArray//mと比較して、データ転送が始まるまでの遅延を約半分に減らし、データ転送速度は最大で2倍高速化した。FlashArray//mが既存のSSDをソフトウエアの工夫で高速化したのに対して、FlashArray//Xではフラッシュメモリーのチップ構成から設計し直した新ドライブモジュール「DirectFlashモジュール」を搭載する。インタフェースに低遅延の「NVMe」を採用。これまで性能面および容量面で悪影響を与えていた、SSD搭載制御チップと個々のSSDが持つ予備領域を減らしたことで、低遅延と大容量を両立させた。既存ユーザーはDirectFlashモジュールを同社製品に無停止で搭載できるという。

 FlashArray//mと比較した実機デモでは、FlashArray//mのレイテンシーが0.7ミリ秒前後、1秒当たりの入出力数(IOPS)が15万前後、データ転送速度が500Mバイト/秒前後に対し、FlashArray//Xでは同0.2ミリ秒前後、同50万前後、同1.9Gバイト前後の結果を見せていた。

FlashArray//Xの実機デモ
従来機のFlashArray//mの管理画面
従来機のFlashArray//mの管理画面
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FlashArray//Xの管理画面
FlashArray//Xの管理画面
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 発表会に臨んだ米ピュア・ストレージのスコット・ディーゼンCEOは、「パブリッククラウドと同等の使い勝手をオンプレミスで実現する」と意気込む。人工知能(AI)や機械学習といったデータ中心の分野ではパブリッククラウドの利用が盛んだが、データがローカルにある場合はネットワーク帯域がボトルネックになる。「データの肥大化に比べて通信回線の伸びは限定的」(ディーゼンCEO)とし、クラウドサービス並みの手軽さで導入できる高速ストレージの優位性を訴えた。

 2017年2月に社長に就任した田中良幸社長は、2017年の営業戦略に言及。パブリッククラウドサービスと同様に「顧客のLOB(事業部門)に提案していきたい」(田中社長)とした。FlashArrayシリーズやFlashBladeの性能を単に訴求するだけではなく、AIや機械学習といった顧客に訴求できるアプリケーション込みの販売に力を入れる。「既存のパートナーとは3カ月以内に何らかの成果を発表したい。2017年内には、5社を超えるパートナーを新たに加えたい」(同氏)という。

米ピュア・ストレージのスコット・ディーツェンCEO(写真左)とピュア・ストレージ・ジャパンの田中良幸社長
米ピュア・ストレージのスコット・ディーツェンCEO(写真左)とピュア・ストレージ・ジャパンの田中良幸社長
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■変更履歴
記事公開当初、出荷開始の時期を「2018年第2四半期」としていましたが、正しくは「2017年4月末」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/04/13 16:00]