米Gartnerが現地時間2017年4月10日に公表した世界のIT支出に関するリポートによると、2017年の年間支出推計額は3兆4600億ドル(約383兆円)となり、前年比1.4%の伸びにとどまる見通し。これに先立つ同年1月、Gartnerは2017年の世界IT支出額が前年比で2.7%増加すると推計していたが、今回のリポートでこれを下方修正した。ドル高の影響で、同年の世界IT支出額は当初推定より670億ドル減少し、これに伴い米国を本拠地とする多国籍企業の収益が圧縮されると、Gartnerは分析している。

 同社がまとめた2017年の支出推計額を分野別にみると、「データセンターシステム」は同0.3%増の1710億ドルと、小幅な伸びにとどまる見通し。IT支出額全体の約4割を占める「通信サービス」は同0.3%減の1兆3760億ドルになると推計している。

 このうち、データセンターシステムはサーバー分野が低迷しているという。企業は従来のサーバーベンダーから機器を購入するのではなく、米Amazon.com、米Google、米Microsoftといったクラウドサービス企業からサーバーパワーを借りるようになっているとGartnerのリサーチバイスプレジデント、John-David Lovelock氏は述べている。

 一方、「企業向けソフトウエア」は3510億ドルで、前年比伸び率は5.5%と、分野別で最も高くなる見通し。「ITサービス」も同2.3%増の9170億ドルと、堅調に推移するという。また、パソコン、携帯電話、タブレット端末など「デバイス」への支出額は同1.7%増の6450億ドルになると見ている。

 Gartnerによると、デバイスへの支出額は、2016年に前年比で2.6%減少していた。だが2017年はアジア太平洋地域の新興国市場や中国で平均販売価格が上昇することから、携帯電話への支出額が増えるという。米AppleのiPhoneは発売10周年モデルが登場すると見られており、同社製端末への買い替えも進むという。これに対し、タブレット端末は引き続き大幅な減少が見込まれている。パソコンは買い替え周期が依然長期化しており、低迷が続くとGartnerは予測している。

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