オープンイノベーションの支援事業を手がけるFilamentは2017年4月9日、大企業とスタートアップ企業の交流イベント「Re:Framing the Flame」を開催した。
当日用意された3セッションのうち、大企業役員が登壇した「エグゼクティブセッション」では、パーソナルコンピューティングの時代感や組織のあり方、AI(人工知能)との共存など幅広い議論がなされた(写真1)。
ヤフー執行役員CMO(チーフ・モバイル・オフィサー)の村上臣氏は「コンピュータのインプットとアウトプットが分散するという、これまでにはない新しい時代に入った」と、パーソナルコンピューティングの時代感を示し、それをユーザーの周りにどう実装していくのかが重要になると述べた。
レノボ・ジャパン代表取締役社長の留目真伸氏は、「パーソナル・コンピューティングはこれからますます面白くなるのだが、“コンピュータという箱を売る”と考えて発想が停滞してしまいがちだ」とした。
外資企業の経験が長いアクア日本代表の山口仁史氏は「結果的に大きな変化を受け入れているにも関わらず、日本人は間違いを恐れすぎる」として、新しいことに積極的に取り組むように発想の転換が必要だと述べた。
AIの台頭で「人の仕事がなくなる」と言われがちだが、「課題を適切なサイズに切り分ける能力」(村上氏)、「チームの熱量を高める力」(留目氏)などは、AIでは置き換えられない人間ならではのスキルだとした。
中国からゲストを招いた「グローバルセッション」は、中国におけるスタートアップ事情やシリコンバレーとの比較が話題の中心だった(写真2)。
香港のベンチャーキャピタルCoCoon Ingnite VenturesのRonald Yau氏は、「シリコンバレーとアジアでは背景がまったく異なるので、シリコンバレーの模倣ではなく、現地の事情に合った“アジア流”を追求すべきだ」とした。
上海に拠点を置くTakumi Innovators CEOの田中年一氏は「CtoCと言えば、一般には消費者間のシェアリングエコノミーを指すことが多いが、シリコンバレー発のビジネスモデルが中国市場にコピーされる“Copy to China”としても使われる」として会場の注目を集めたのに続けて、「単にコピーするだけでなく、巨大な市場や労働力によって改善のスピードが“本家”よりも著しく早いのが中国の特徴だ」とした。