米Twitterが政府当局のユーザー情報開示要請を拒否し、米国土安全保障省(DHS)を現地時間2017年4月6日に提訴したと、複数の米メディア(New York TimesWashington PostThe HillForbesなど)が報じた。

 Twitterがカリフォルニア州北部の米連邦地方裁判所に提出した訴状によると、当局が要求しているのは「@ALT_USCIS」というアカウントの情報。同アカウントは、主にDonald Trump米大統領の移民政策を批判するコメントをツイートしている。2017年1月に開設され、アカウント保持者はDHSの移民管理局(USCIS)に務める職員とされている。

 Twitterが3月14日にDHSの米税関・国境警備局(CBP)から受け取った行政召喚状では、同アカウントのユーザー名、ログイン情報、電話番号、住所、IPアドレスなどを引き渡すよう要請し、さらに情報開示要請があったことを当該アカウントに知らせることを禁じている。

 Twitterは、こうした個人情報の開示要請はCBPの管轄外であり、限定的な捜査手段を不適切に使用していると非難。また、政府を批判するアカウントの情報を当局に渡すことは「言論の自由」を保障する米国憲法修正第1条に違反し、政策に異論を唱える多くのアカウントの発言に重大な萎縮効果を与えることになると、要請拒否の理由を説明した。

 Twitterが訴訟を起こした直後、@ALT_USCISは憲法修正第1条をツイートしている。一方、DHSはコメントを拒否しているという。

 @ALT_USCISは、昨年のTrump大統領当選のころから多数出現している「alternative government(代替政府)」と呼ばれるアカウントの1つ。これら「alt」アカウントは自身を政府機関の現職員または元職員だとし、現政権に対して異議を唱えたり、事実確認を指摘したりしている。