デロイト トーマツ コンサルティング合同会社は2017年4月6日、最新のデジタルテクノロジーのトレンドをまとめた「Tech Trend 2017 日本語版」の説明会を開催した。今後のビジネスを変革するテクノロジーについて同社が毎年まとめている「Tech Trend」に、日本の動向や日本企業への影響を加えて解説したもの。日本版は2015年から3回目の発刊となる。

 同社 執行役員 テクノロジー リーダーの安井 望氏は、「これまで『Tech Trend』では2〜3年先に実用化され、認知されるテクノロジーのトピックについて紹介してきた。ところが、最近では1〜2年でトレンドの波が来てしまう」と話し、開発された技術が実用化されるまでのスピードが速まっているとした。テクノロジーを自分たちのビジネスに取り込み活用するまでの時間が短くなり、「技術の活用方法も進化しているように感じる」(安井氏)という。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員 テクノロジー リーダーの安井 望氏(撮影:林 徹、以下同じ)
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員 テクノロジー リーダーの安井 望氏(撮影:林 徹、以下同じ)
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 「Tech Trends 2017日本版」では、企業における組織間の垣根を越えるIT活用、非構造化データの中からビジネスチャンスを探るダークアナリティクス、機械知能(MI)、複合現実(MR)、ブロックチェ―ン技術によって生み出されるトラスト経済圏など、CIOが注目すべき最新のテクノロジートレンドが紹介されている。

 安井氏はそれらのテクノロジートレンドに触れながら、「奇をてらったような技術は、それほど多くは生まれていない」と指摘。「高度化された技術をいかにビジネスニーズと環境に合わせて組み合わせるかが重要だ」(安井氏)と強調した。さらに、テクノロジーの進化によって、様々な機能が「自動化」されている状況を踏まえて、「自動化技術の進展によって乗っ取られた際のリスクが増大している。今まで以上にセキュリティの重要性を認識するべきである」(安井氏)と述べた。

Tech Trends 2017 日本版では8つのトピックを取り上げている。1、2、3、5、6章は日本の企業にとってヒントになるという
Tech Trends 2017 日本版では8つのトピックを取り上げている。1、2、3、5、6章は日本の企業にとってヒントになるという
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 また安井氏は、従来「Tech Trends」で取り上げていたCIOに関する提言についても触れた。今回の「「Tech Trends 2017」では、CIOに関する提言は「2016-2017 グローバルCIO サーベイ」として独立している。同氏によれば、CIOは「頼りになるオペレーター」「変化の立役者」「事業の共同創作者」の3種類に分類されるという。

 3種類のモデルがあるなかで、安井氏は「ビジネスニーズに応じたパターンにシフトできる適応力がCIOには求められている」と説明。調査では理想のCIOについて、「事業の共同創作者という回答が半数以上を占めた」(安井氏)という。同氏は、CIOが成功するか否かは生まれ持った資質よりも、どのようなビジネスを経験してきたか、つまり「育ちにある」と説明した。

理想のCIOとは、縁の下の力持ちではなく、テクノロジーを活用して創業する「事業の共同創作者」だ
理想のCIOとは、縁の下の力持ちではなく、テクノロジーを活用して創業する「事業の共同創作者」だ
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