NTT、NTT東西は2017年4月6日、INSネットのディジタル通信モードの提供終了時期を2024年初頭に後ろ倒しする方針を明らかにした。2025年頃に維持限界を迎える加入電話網(PSTN)のIP網への移行に伴う措置で、これまでは「2020年度後半の終了予定」と案内していた。当面の対応策として、既存のISDN対応端末を使い続けながらデータを送受信できる「メタルIP電話上のデータ通信」(補完策)も同時期に提供を始める予定である。

 総務省が同日開催した有識者会議「電話網移行円滑化委員会」で明らかにした。IP網への移行後も既存のメタル回線を継続して使い、基本料は現行の加入電話・INSネットと同額に維持する。一方、通話料は距離に依存しないIP網の特性を生かし、全国一律8.5円/3分と安価に設定する方針である。INSネットの通信料も全国一律8.5円/3分とした。

図1●IP網への移行後に提供される「メタルIP電話」の基本料
図1●IP網への移行後に提供される「メタルIP電話」の基本料
(出所:総務省)
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図2●IP網への移行後に提供される「メタルIP電話」の通話料
図2●IP網への移行後に提供される「メタルIP電話」の通話料
(出所:総務省)
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 なお、IP網への移行後も当面は既存のメタル回線を使い続けるため、ユーザー宅の工事などは不要。既存の電話機をそのまま使い続けられる。サービス形態はメタルIP電話と呼ぶ方式に切り替わるが、特段の申し入れがない限り、契約を自動移行して処理する考え。つまり、上記の基本料と通話料は自動的に適用される。

 NTT、NTT東西は「IP網への移行に便乗して不必要な端末の購入や設置などを迫る悪質な販売や勧誘に注意してほしい」と呼びかけている。