米ヴイエムウェアは2017年4月4日(米国時間)、パブリッククラウドの「VMware vCloud Air」事業を、フランスのクラウドサービス大手OVHに売却すると発表した。売却額は非公表だが、2017年第2四半期までに取引を終えるとしている。日本市場では、2016年4月時点で同サービスの直接提供を翌17年3月に終了することを明らかにしていた。

 ヴイエムウェアが、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)から撤退する。同社は、米国と欧州にあるvCloud Airのデータセンターや顧客対応業務などをOVHに移管。今後はハイブリッドクラウドに関するソフトウエアやサービスを重点戦略領域とし、経営リソースを集中させる。vCloud AirはOVHが継承し、サービスの運用を継続させるという。

 ヴイエムウェアは昨今、マルチクラウド戦略「VMware Cross-Cloud Architecture」を表明し、世界的に推進してきた。IBMなどの他社クラウドサービス上に、サーバー仮想化ソフト「VMware vSphere」を代表とするVMware製品を広く配し、ハイブリッドクラウドを構成する。自前でパブリッククラウドを運営する必要性が相対的に低下したとみられる。

 2013年にサービス開始したクラウドサービス「VMware vCloud Hybrid Service」を、2014年に名称変更して始めたのがvCloud Airだ。サービス開始から4年を待たずに終了する。サーバー仮想化ソフト「vSphere」を活用したプライベートクラウドと連携しやすく、ハイブリッドクラウド構成を採りやすい点を売りにしていた。

 OVHは、26万台のサーバーを導入するクラウドサービス事業者で、100万以上の顧客を抱えているという。ヴイエムウェアの仮想化ソフトを、クラウドサービス運用に使う企業ネットワーク「vCloud Air Network」のパートナーも務めている。