ビックカメラは2017年4月5日、ビットコイン決済を店舗に導入すると発表した。まずは4月7日に、ビックカメラ有楽町店およびビックロ ビックカメラ新宿東口店で試験利用を開始。他店舗への拡充も視野に入れる。決済手段を拡充し、海外観光客などを中心とした顧客の利便性を高めたい狙いだ。

 国内の大手小売店として初めて、ビットコイン決済を導入する。店頭レジに用意した「iPod touch」を使い、購入金額相当のビットコイン価格とQRコードを表示。顧客にビットコインウォレットアプリなどで、ビットコインを送金してもらい、支払いを完了させる。1回での決済上限は10万円相当とし、現金と同率のポイントを付与する。ビックカメラは2016年9月に「WeChat Pay」を導入するなど、支払い手段の多様化を進めている。ビットコイン決済の試験導入は2店舗からスタートさせるが、「拡大を前提としたもの」(ビックカメラ広報)だという。

 ビットコイン取引所の国内最大手bitFlyerが提供するビットコイン決済サービスを採用した。顧客が支払うビットコインは同社が受け取り、日本円を店舗に入金する仕組み。店舗側が、ビットコインの価格変動リスクを負う必要はない。

 bitFlyerは今回、EC(電子商取引)サイト向けのビットコイン決済サービス「bitFlyer SHOP ver2.1」を、ビックカメラ向けにカスタマイズして提供したもよう。900秒ごとに最新の為替レートに従って、店頭で表示するビットコイン価格を更新する。bitFlyer SHOPの場合、店舗が支払う決済手数料は1%で、クレジットカード決済などに比べると安価で済む。

 ビックカメラがビットコイン決済の導入に踏み切った背景には、2017年4月1日に施行された改正資金決済法がある。ビットコインなどの仮想通貨が事実上の支払い手段として法的に位置づけられ、仮想通貨交換所を登録制にするなど、消費者が安全に仮想通貨を利用するための制度整備が進んでいる。

 ビットコインの時価総額は、2017年4月3日時点で180億ドル超。この1年で3倍近くに増えた。利用者は全世界で2000万人に上る。現在は投資目的での利用が中心とみられるが、大手小売店などでビットコイン決済の導入が進めば、支払い手段としての普及にも弾みがつきそうだ。