自動運転車開発に関する企業秘密盗用を巡り、米Googleが現地時間2017年4月3日に米Uber Technologiesの幹部を相手取った仲裁要請を申告したと、複数の米メディア(Business InsiderArs Technicaなど)が報じた。Googleは、現在Uberのエンジニアリング責任者を務めるAnthony Levandowski氏がGoogle在籍中に競合するサイドビジネスを立ち上げていたと主張している。

 Googleの親会社である米Alphabetは、Googleの研究開発部門が取り組んできた自動運転技術を商用化する目的で昨年12月にWaymoを設立。Waymoは先月、Uber傘下の米Ottoに自動運転技術関連の企業秘密を盗まれたとして、UberおよびOttoを相手取って訴訟を起こしている。Waymoは、Ottoの創業者であるLevandowski氏がGoogle独自の自動運転向けレーザーレーダー(LiDAR)の情報を含む1万4000点以上の極秘ファイルを不正に入手したと主張している。

 今回、Googleが裁判所に提出した仲裁要請書によると、Levandowski氏はGoogle社員として自動運転車開発プロジェクトに携わっていた2012年にOdin WaveとTyto Lidarという事業を立ち上げた。Googleが自動運転車に使用しているLiDARと類似したシステムの部品をOdin Waveが発注したことを知ったGoogleは、Odin Waveについて調べ、同社とLevandowski氏の関わりに疑いを持ったが、Levandowski氏は否定したという。Odin Waveは2014年にTyto Lidarに統合され、その後OttoがTyto Lidarを買収した。最終的にOttoはUberに6億8000万ドルで買収された。

 Levandowski氏はGoogle在籍中にサイドビジネスを始めただけでなく、他のGoogle従業員の勧誘も行ったと、Googleは指摘している。Levandowski氏に誘われてGoogleを辞めた人物はOtto共同創業者のLior Ron氏と見られている。Levandowski氏は2016年1月にGoogleを退職し、Ottoを設立した。

 Levandowski氏はその一方で、Googleの自動運転車開発に貢献したとして1億2000万ドルの報奨金を獲得している。

 一方Waymoは同日、Uberが裁判所の手続き進行を遅らせ、Waymoの仮差し押さえ要求を妨害していると非難する書簡を判事に送ったと、米Re/codeが報じている。Uberが裁判所の指示に応じて提出した書類は約900件で、Waymoは「Uberの社内調査は意図的に制限され、Levandowski氏の個人デバイスを対象から除外しており、不十分だ」と主張。

 なお、Uberに対する訴訟では被告側の名前にLevandowski氏は含まれておらず、同氏はUberとは別に個人で弁護士を雇っているという。Levandowski氏の弁護士によれば、同氏は自己に不利な供述を強制されないとする米国憲法修正第五条を主張している。