富士通と米オラクルは2017年4月4日、UNIXサーバーの新製品「SPARC M12」を全世界で販売開始すると発表した。富士通が独自に開発した新プロセッサ「SPARC64 XII」を搭載する。コア当たりの演算処理性能を、従来製品の最大2.5倍に高めた。ベンチマークテストで世界最速だ。現行製品の「SPARC M10」と合わせて、2年間で1万台の販売を目指す。

 プロセッサ「SPARC64 XII」はコア当たりのスレッド数を8スレッドと、従来製品の4倍に増やして、演算処理性能を高めた。一方で、チップ当たりのコア数は12コア。従来製品の16コアより減らした。コアの動作周波数が最大4.25GHz。最大3072スレッド。このほか、I/Oコントローラを従来製品の2倍となる4個に増やした。

富士通エンタプライズシステム事業本部の間嶋栄エグゼクティブディレクター
富士通エンタプライズシステム事業本部の間嶋栄エグゼクティブディレクター
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 同日の説明会で、富士通エンタプライズシステム事業本部の間嶋栄エグゼクティブディレクターは「コア当たりの演算処理性能で世界最速になったのは今回が初めてだ」と話した。ベンチマークテストの「SPECint_rate2006」と「SPECfp_rate2006」で、1コアあたりの登録値と比較した。

 間嶋氏は「コア性能を高めたサーバーを基幹系のシステムなどに採用したいというユーザー企業の需要は強い」と説明する。コア当たりの性能が向上することで、コア数で課金するソフトウエアのライセンス費用を減らせるためだ。

 販売するのはミッドレンジモデルの「SPARC M12-2」とハイエンドモデルの「SPARC M12-2S」。プロセッサからきょう体まで、ハードウエアは全て富士通が開発。OSはオラクルが提供する「Oracle Solaris 10」、「Oracle Solaris 11」を利用できる。

 SPARC M12-2は2プロセッサモデルでコアの動作周波数が3.9GHz。最小2コアから1コアずつ、コア数を増やせる。最大は24コア。価格は最小構成で590万円から。

SPARC M12-2S
SPARC M12-2S
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 SPARC M12-2Sは2プロセッサモデルのきょう体を1~16個と、段階的に拡張可能なビルディングブロック方式を採用している。コアの動作周波数は4.25GHzで、最大で384コアまで増やせる。価格は最小構成で1600万円から。