新年度が始まった2017年4月3日、IT大手各社が入社式を開いた。世界的に不安定な情勢が続くなか、各社のトップはIoT(インターネット・オブ・シングズ)や人工知能(AI)といった技術進化を踏まえ、新入社員への期待を語った。

 「政治、経済、社会。従来の価値観が大きく変わる出来事がいたるところで起きている」。NTTデータの岩本敏男 代表取締役社長は、同社の入社式が開かれた駒場研修センターで、新入社員に向けて話した。

 米国や中国などを中心に不確実性を増す政治、経済の先行きに対し、不安視する声も多い。2016年は、英国のEU離脱である「Brexit」を始め、政治経験がないドナルド・ドランプ氏が米国大統領に当選するなど、象徴的な出来事が続いた。2017年も不安定な情勢が続くとみられる。

NTTデータの入社式。壇上で岩本社長が新入社員に向けて挨拶した
NTTデータの入社式。壇上で岩本社長が新入社員に向けて挨拶した
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 NTTデータの岩本社長は「こうした不確実な変化が予測される中、人々の生活を劇的に進化させるのがITの力だ」と話す。

 例えば、AIの進化と応用によってもたらされる、知的労働の代替だ。従来は肉体労働を代替してきた機械やコンピュータだが、岩本社長は「人間の知的な労働を置き換え始めている」と話す。

 人間の知性をコンピュータが超えるシンギュラリティ(技術的特異点)の到来については、NTTデータの岩本社長は「2045年よりも早く到来するのではないか」と考えを示した。

 こうした激変の時代を踏まえ、NTTデータの岩本社長が新入社員に送った言葉は「真実一路」。「自ら正しいと信じる道を貫き通す」というメッセージだ。社会人としてのスタートを切った新入社員が、時代の変化の波に流されないために必要な心構えだとする。「大学や高校までのカリキュラムのように、与えられた課題をこなすのでなく、『自ら正しい道は何か』と考えてほしい」(岩本社長)。