経済産業省が2017年5月にも、企業間でのデータ共有に向けた契約ガイドラインを策定、公表することが分かった。産業データを活用する権利の保持者(データオーナーシップ)を明確にし、企業間取引をしやすい環境の整備につなげたい考えだ。個人情報を含まない産業データなどのオーナーシップには明確な制度がなく、企業間でやり取りする際は個別に交渉、契約を締結する必要があるという課題があった。

経済産業省
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 経産省は、産業構造審議会 情報経済小委員会分散戦略ワーキンググループ(WG)が2016年11月に公表した中間とりまとめを受け、企業間でのデータ共有を促進するための契約ガイドライン策定を進めている。同省は2015年10月に、「データに関する取引の推進を目的とした契約ガイドライン」を策定しているが、データの提供企業と受領企業が契約締結時に検討すべき項目などをまとめたもの。そもそも誰にデータを活用する権利があるのか、といった点には触れていなかった。5月に策定するガイドラインで、データオーナーシップの在り方を巡る方針を示すとみられる。

 分散戦略WGは、日本のIoT(Internet of Things)進展を見据えた戦略や制度などを議論する場だ。中間とりまとめの中では、「企業間契約でデータの利活用権限を決めることが一般的にはなっていないため、流通がなされずに事業者に囲い込まれている」と指摘。指針策定やルールの明確化を求めていた。

 分散戦略WGが問題視するのは、データの活用権限が公平に配分されていないという懸念だ。例えば、メーカーが顧客の工場に機械を収めた場合、工場で機械を運用することで生じるデータをメーカーが取得できるケースは少ない。データ創出に当たっての貢献度に応じて配分すべきとの考えである。

 経産省は今後、民間主導のIoT推進コンソーシアムなどでも議論を促し、ガイドラインをまとめる予定。パブリックコメントを募集する可能性もあるという。