全米レコード協会(RIAA)が現地時間2017年3月30日に公表した音楽販売統計によると、2016年における米国のレコード音楽売上高は小売りベースで77億ドルとなった。この金額は前年比11.4%増と、1998年以来最大の伸び。有料サブスクリプションサービスの売上高が2倍以上増加し、米音楽市場をけん引した。ただ、米レコード音楽市場の年間売上高は、依然1999年の半分以下の規模。CDなどの物理メディアや、デジタルダウンロードが引き続き落ち込んでいる。

 2016年の売上高のうち、ストリーミングサービスは前年比68%増の39億ドルとなった。ストリーミングの売上高は市場全体の51%となり、初めて同国レコード音楽売上高全体の大半を占めた。

 ストリーミングサービスには(1)SpotifyやApple Music、TIDALなどの有料サブスクリプションサービス、(2)PandoraやSIRIUS XMなどのインターネットラジオ/衛星ラジオ、(3)YouTubeやVEVOなどの広告付きオンデマンドサービスがあるが、いずれも売上高が増加した。

 このうち最も売上高が多く成長が速いのは(1)の有料サブスクリプションサービス。その2016年における売上高は前年比114%増の25億ドルとなり、これだけで米レコード音楽市場全体の約3分の1を占めた。

 一方、デジタルダウンロード販売の売上高は18億ドルとなり、前年から22%減少。過去最大の落ち込みだった。このうちシングルのダウンロード販売は同24%減、アルバムは同20%減となった。

 物理メディア販売(CD、アナログレコードなど)の売上高は前年比16%減の17億ドル。市場全体に占める物理メディアの比率は、前年の29%から22%に低下した。RIAAによると、物理メディアの売上高は、2010年の約半分の規模にまで低下したという。

[発表資料(PDFファイル)]