水道・ガスメーター大手のアズビル金門(東京・豊島)は2017年3月30日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けのLPWA(ローパワー、ワイドエリア)無線通信を活用した遠隔検針の取り組みを拡充すると発表した(写真)。LPWAの主要規格のうち、「LoRaWAN」「SIGFOX」という二つの規格を試用し、実用性を見極める。

写真●アズビル金門の電子式水道メーター。LPWA無線通信モジュールを接続して遠隔検針を実施する
写真●アズビル金門の電子式水道メーター。LPWA無線通信モジュールを接続して遠隔検針を実施する
(出所:アズビル金門)
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 LoRaWANについては日本IBMなどと協業する。既に2月から北海道で遠隔検針の実証実験を始めたが、新たに4月から福岡市でも実施する。市内にLoRaWAN基地局を設置。水道・ガスメーターの遠隔検針を実施しながら、通信性能を検証する。

 LoRaWANは基地局から10キロメートルを超える範囲の無線通信を、乾電池で10年以上持つとされる省電力通信モジュールで実装できる。地中に埋設される水道メーターにも電波が届きやすい性質を持つ。

 SIGFOXについて、アズビル金門はKDDIや京セラコミュニケーションシステム(KCCS)などと協業し、兵庫県の姫路市水道局が協力する。既に3月半ばから取り組みを開始した。

 訪問が容易ではない姫路市内の離島部に設置された水道メーターについて、SIGFOX通信を使って訪問せずに検針を完了する方法の実用化を目指す。SIGFOXもLoRaWANと似た通信特性を持ち、基地局から10キロメートル超の範囲に電波が届く。KCCSが提供する通信モジュールはボタン電池で5年間動作するとされる。

 LoRaWANは基地局やネットワークを原則として自営するのに対し、SIGFOXは通信事業者(KCCS)がネットワークを提供する。アズビル金門は、水道・ガス事業者などと共に、地域特性によって最適な通信規格を見極める方針だ。