米国と英国が中東などからの直行便で一部の電子機器の持ち込みを禁じた背景には、偽造iPadに爆発物を仕込んで機内に持ち込もうとした爆破計画があったとする関係者の情報を、英Guardianが現地時間2017年3月26日に報じた。

 米政府と英政府は3月21日、中東や北アフリカからそれぞれの国に向かう直行便で、スマートフォンより大きい電子機器の機内持込禁止を発表した。

 先に発表した米国は、サウジアラビア、カタール、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、ヨルダン、エジプト、モロッコの8カ国にある10空港からの直行便を対象とする。英国の措置は、トルコ、レバノン、エジプト、サウジアラビア、ヨルダン、チュニジアから英国に向かう便に適用される。

 Guardianが関係者から得た情報によると、爆発物が仕込まれた偽造iPadは本物そっくりに作られていた。同計画はこれまで公表されておらず、いつ発覚したか、どの国のフライトか、どのような組織が関与しているかなどは依然、明らかにされていない。

 米英の禁止措置は同爆破計画のみが原因ではなく、さまざまな事実から決定されたという。

 テロ組織はこれまで、靴や下着に爆発物を隠して持ち込んだことがあった。iPadを用いた爆破計画は、イスラム過激派組織などが爆発物を機内に持ち込む斬新な方法を考えているという情報当局の懸念を裏付けるものとなった。

 例えば2016年、ソマリアの首都モガディシオの空港から離陸した直後の旅客機で爆発があり、機体にあいた穴から投げ出された乗客が1人死亡した。ノートパソコンに隠された爆発物が使われたと見られている(米CNETの情報)。

 米運輸保安庁は「テロ組織がさまざまな攻撃実行手段を探っていることを示す確かな情報がある。それには、消費者向け電子器機などを使って爆発物を密かに持ち込む方法が含まれる」と述べている。