電通は2017年3月27日、テクノロジーを起点とした新しい表現開発に取り組む制作チームの「Dentsu Lab Tokyo」(電通ラボ東京)がディープラーニングなどのデータテクノロジーを活用した「AIスポーツ解説プロジェクト」を同日に始動したと発表した。

 同プロジェクトの第一弾として、スポーツ解説システムである「ZUNO(ズノさん)」の開発を他社と共同で進め、2017年に「プロ野球」をデータテクノロジーでひもとくことに挑戦する。2017年から順次、ZUNO(ズノさん)を活用した野球関連番組をNHKで放送する。

 スポーツ解説システムの開発に当たっては、囲碁やチェスなどの分野における人間と人工知能の対決で話題となった「ディープラーニング」の技術を応用した。具体的にはデータスタジアムが提供する2004年から記録されている300万球を超える打席データを学習し、配球や勝敗、順位などを予測できるようにした。さらにデータマイニングの応用によって、これまで人間の解説者では見つけることのできなかった選手の傾向や試合状況に応じた投球の解析を実施できるという。

 電通ラボ東京は企画とディレクションを担当し、データ提供および野球解析に関するアドバイザーであるデータスタジアムの協力の下に、共同でプロジェクトを推進する。ZUNO(ズノさん)の開発では、ディープラーニングとビジュアライゼーションをQosmo(コズモ)が、データマイニングを山田興生氏が、 UIデザインをTWOTONE(ツートン)が、プロデュースをパズルがそれぞれ担当する。

 今後電通は、2017年度中にもNHKのBS放送の野球関連番組でZUNO(ズノさん)が解説者として起用されることを目指し開発を進める。また、野球以外のスポーツでも視聴者が多様な観点からスポーツを楽しめる手法の開発に取り組むとしている。

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■変更履歴
記事公開時、電通がNHKのBS放送の野球関連番組でZUNO(ズノさん)が解説者として起用されることを目指す時期について「2018年度にも」としておりましたが、正しくは「2017年度中」です。お詫びして訂正します。タイトルと本文は修正済みです。 [2017/03/28 18:51]