みずほフィナンシャルグループ(FG)、みずほ銀行、丸紅は2017年3月27日、ASEANで新しい金融サービスを実現するため、業務提携に向けた協議を開始すると発表した。電子マネー事業や取引データを活用した融資事業などを視野に入れる。3社でタスクフォースを発足、年内にも方針を定めるとみられる。ASEANに適したサービスを投入し、新しい収益源に育てることを目指す。

 みずほと丸紅が手を組み、ASEANでの金融サービスに乗り出す。まず狙いを定めるのが、モバイル決済だ。現時点では仮想通貨ではなく、法定通貨による電子マネーでの参入を見据えている。同事業が軌道に乗れば、決済データを蓄積、分析することで融資事業にも乗り出したい考えだ。

 国ごとに様相は異なるものの、ASEAN諸国では現金取引が根強く残る一方、スマートフォンをはじめとするモバイル端末が普及している。こうした状況を背景に、各国の政府やスタートアップ企業などはモバイル決済に力を注いでいる。

 例えば、タイでは政府や銀行が主導する「Promptpay」と呼ぶプロジェクトが進行中。銀行口座とひも付けた送金・決済サービスで、日本でいうマイナンバーや携帯番号を使って送金ができる。決済にも利用できるようにする見通しだ。既に1000万人以上が登録を済ませているという。

 みずほと丸紅はタスクフォースの中で、サービスを提供する国などを含めて検討を進める。サービス化に当たっては、現地企業と共同で進める可能性が高そうだ。電子マネー以外でも協業を模索する。例えば、ブロックチェーンを活用した貿易金融業務の効率化なども検討するという。