日本マイクロソフトと博報堂は2017年3月23日、人物の特徴や顔の表情に合わせて商品やサービスの広告を表示できる「Face Targeting AD」の体験発表会を開催した。人工知能(AI)技術を活用することで、広告は対象者に合わせて情報を発信できる新たなインタフェースになるという。日本マイクロソフトは将来的に、人と対話してニーズに合わせて配信情報を提供するメディアになるとした。

日本マイクロソフトと博報堂、博報堂アイ・スタジオが開発したAI活用ターゲティング広告。対象に合わせて表示内容を変える様子
日本マイクロソフトと博報堂、博報堂アイ・スタジオが開発したAI活用ターゲティング広告。対象に合わせて表示内容を変える様子
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 日本マイクロソフトと博報堂、博報堂アイ・スタジオが開発したAI活用ターゲティング広告は、鏡に広告の映像を表示する。人が鏡をのぞき込むと、疲れていそうであれば栄養ドリンク、裸眼の人には眼鏡、ひげを生やしていればひげそり、といったようにその人の状態に合わせた広告を表示できる。効果的な販促ツールとして公共施設などへの設置を想定する。

 人の状態は、鏡に取り付けたカメラから画像を取得して分析する。画像データはMicrosoft Azure上へ送信し、顔認識API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)や感情APIなどのAI技術を活用して処理する。クラウド上で画像から年代や性別、数値評価などを分析して、結果だけを抽出して活用する仕組みだ。画像はその場で破棄するため、プライバシー侵害などの問題は避けられる。

 対象の属性に合った好みや傾向を学習して、効果的な広告表示を出し分けるといった使い方も想定する。対象者の大まかな属性情報や反応が分かるので、その結果を次の広告表示にフィードバックできる。

 日本マイクロソフトは今後、広告に音声認識機能を追加するといった活用も想定する。同社業務執行役員パートナービジネス推進統括本部の浅野智統括本部長は、「対話機能を搭載すれば、対象者の要望や感性に合わせて広告を配信することが可能になる」という。例えば対象者が「この広告の商品が欲しい」と言えば売り場を紹介したり、「近くに飲食店はある?」と質問すれば、近場のレストランを紹介したりといった活用が考えられる。同氏は、既に複数社から同様の引き合いを受けており、サービスを検討しているとした。

日本マイクロソフト業務執行役員パートナービジネス推進統括本部の浅野智統括本部長
日本マイクロソフト業務執行役員パートナービジネス推進統括本部の浅野智統括本部長
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 博報堂インタラクティブデザイン局クリエイティブ開発部の須田和博エグゼクティブクリエイティブディレクターは、「広告の形は何でもいい。次のシーズは既に準備しており、マイクロソフトのHoloLensの活用も検討している」とした。

博報堂インタラクティブデザイン局クリエイティブ開発部の須田和博エグゼクティブクリエイティブディレクター
博報堂インタラクティブデザイン局クリエイティブ開発部の須田和博エグゼクティブクリエイティブディレクター
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