セブン銀行とじぶん銀行は2017年3月23日、スマートフォン操作で取引ができるATMサービスを報道陣に公開した。じぶん銀行のスマホアプリとATMを連動させて、キャッシュカードを使わずに現金を出し入れできる。全国2万3000台のセブン銀のATMで利用できる。スマホを使い慣れた若年層を中心に普及を図る。

セブン銀の二子石社長(左)とじぶん銀の鶴我社長
セブン銀の二子石社長(左)とじぶん銀の鶴我社長
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 「キャッシュカード、クレジットカードに加えて、これからはスマホがATMで使えるようになる。ATMを生活のプラットフォームとして利便性を高め、利用者増につなげたい」(セブン銀行の二子石謙輔社長)。

 「スマホATMのコンセプトは、『いつでも便利に』のほか、多くの人に多くの場所で使えること。ふくらみがちな財布から、カードを1枚なくせる」(じぶん銀行の鶴我明憲社長)。会見した両社のトップは、それぞれの期待をこう述べた。

じぶん銀のアプリにスマホATMの取引機能を搭載した
じぶん銀のアプリにスマホATMの取引機能を搭載した
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 新たなATM取引サービスの「スマホATM」は、じぶん銀のスマホアプリにセブン銀のATM向けの取引機能を搭載。セブン銀のATMと連動させて、出金や入金ができるようにしたものだ。2017年3月27日からアプリに取引機能を搭載し、サービスを始める。

スマホを使ってセブン銀のATMを操作する様子
スマホを使ってセブン銀のATMを操作する様子
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 利用者はアプリを起動し、入金する金額を入力。次にATMで対応するメニューを選び、ATMの画面に表示されるQRコードをスマホのカメラで読み取る。次いでスマホの画面に表示されるじぶん銀の企業番号である「8333」と自身の暗証番号をATMに入力すると、紙幣を受け取れる。「40秒くらいで操作が終わる。キャッシュカードは30秒くらいなので、財布からカードを取り出す作業を含めるとだいたい同じくらいの時間で済む」(じぶん銀の中村力IT戦略部長)。

 サービス開発に当たって両社が重視したのは「誰もが安心、安全に、簡単に使えるようにする」(セブン銀の池田憲彦業務推進部次長)ことだ。スマホ決済サービスの中にはBluetoothやNFCを使うものがあるが、利用者が機能をオンにしていなかったり機種によっては非搭載だったりと、利用できる環境にばらつきがある。QRコードをカメラで撮影する方式にすることで、「iPhone、Androidの両端末で幅広く使える。ATMも改修が不要だ」(同)。

 スマホを使ったFinTechサービスは、クレジットカードなどと連動した決済などキャッシュレス方式が主流だ。ただ、「日本ではキャッシュが生活の中で重要な位置を占めている。じぶん銀行はモバイル専業銀行だが、出口は現金という顧客が大半」(じぶん銀の鶴我社長)。「ATMイコール現金(の出し入れ手段)とは考えていない。目指しているのは決済のプラットフォーム。ATM操作の入り口を広げて、顧客がどの選択をしても対応できるようにしておくことが、今回のスマホATMの意義だ」(セブン銀の二子石社長)。