日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2017年3月23日、東証一部上場企業とそれに準ずる企業を対象に実施した「企業IT動向調査2017」の、「ワークスタイル改革」に関する速報値を発表した。ITを活用したワークスタイル改革を推進中の企業は、全体の約2割にとどまることが明らかになったという。

 同調査では、ワークスタイル改革を「従来の固定した勤務時間、場所を前提とした働き方から、個人の仕事や生活のスタイルにあわせバランスをとった働き方へ変革を図っていくこと」と定義する。ITを用いたワークスタイル改革を推進しているかを質問したところ、「3年以上前から推進している」「この数年で推進するようになった」と回答した企業は、全体の20.4%(図1)。「現在、試行・検討を始めたところ」は21.2%だった。JUASは「ITを活用したワークスタイル改革はこれから」の段階にあると分析する。

図1●ワークスタイル改革の推進状況
図1●ワークスタイル改革の推進状況
(出所:日本情報システム・ユーザー協会)
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 業種グループ別に推進状況を見ると、最も取り組みが進んでいるのは金融。既に推進中、または試行・検討を始めたと回答した企業の合計が56.2%と、半数以上が何らかの行動を開始している(図2)。ただこのうち、ワークスタイル改革を「3年以上前から推進している」と回答した企業は5.3%と全業種グループ中で最も少ない。金融業界では最近になって急速に取り組みが活発化していることが分かる。

図2●業種グループ別のワークスタイル改革推進状況
図2●業種グループ別のワークスタイル改革推進状況
(出所:日本情報システム・ユーザー協会)
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 ITを活用したワークスタイル変革に対して企業が期待するのは、業務効率化であることも明らかになった。期待する効果の1~3位を尋ねたところ、全体の57.0%が「業務を効率化(生産性向上)するため」を1位に挙げた(図3)。次いで多かったのが「育児など社員が働きやすい環境を作るため」で、23.8%の企業がこれを1位に選んだ。

図3●ワークスタイル改革に期待する効果(1位~3位)
図3●ワークスタイル改革に期待する効果(1位~3位)
(出所:日本情報システム・ユーザー協会)
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 同調査では、4000社のIT部門長に調査票を郵送。有効回答社数は1071社だった(設問によって有効回答数は異なる)。正式なデータや分析結果は、2017年4月上旬に発表予定。

JUASの発表資料