寝具メーカーの西川産業(東京西川)は2017年3月23日、睡眠環境の改善を支援するサービス「ねむりの相談所」を開始すると発表した。寝具の販売店舗内に専門コーナーを設け、睡眠に関する専門知識を持った店員が睡眠環境の改善をアドバイスする(写真1)。希望者にはIoTデバイスのコイン型活動量計を貸し出し、睡眠環境を可視化してより的確なアドバイスを提供する。

写真1●ねむりの相談所を提供する東京・有楽町の直営店「&Freeショップ マルイ有楽町店」
写真1●ねむりの相談所を提供する東京・有楽町の直営店「&Freeショップ マルイ有楽町店」
写真提供:西川産業
[画像のクリックで拡大表示]

 ねむりの相談所でアドバイスを受けたい来店客は、現在の睡眠時間や生活習慣、寝室環境などを、所定のコンサルティングシートや質問票に記入していく(写真2)。店員は、記入された内容から改善ポイントを見つけ出し、来店客にアドバイスしていく。ここまでは無料で提供する。

写真2●初回時はコンサルティンシートや質問票に記入してもらう
写真2●初回時はコンサルティンシートや質問票に記入してもらう
写真提供:西川産業
[画像のクリックで拡大表示]

 さらに希望者にはコイン型の活動量計を貸し出す(写真3)。同社が富士通と共同開発した端末で、腰の部分に装着しておくと、刻々と変化する体の向きや姿勢、動きなどの情報を全て記録できるようになっている。この端末を1~2週間、日中の活動時や夜間の睡眠時に装着し続けてもらう。

写真3●刻々と変化する体の動きや向きなどの情報を全て記録するIoTデバイス(コイン型の活動量計)。富士通と共同開発した
写真3●刻々と変化する体の動きや向きなどの情報を全て記録するIoTデバイス(コイン型の活動量計)。富士通と共同開発した
写真提供:西川産業
[画像のクリックで拡大表示]

 顧客は、1~2週間後に再び同じ店舗を訪れる。店員がその場で活動量計に記録された情報を読み込み、睡眠状態を5段階評価したレポートを出力する(写真4)。さらに、実際の睡眠状態を踏まえたアドバイスを顧客に提供する。

写真4●IoTデバイスで収集したデータを分析して出力するレポート。眠りの状態を5段階評価している
写真4●IoTデバイスで収集したデータを分析して出力するレポート。眠りの状態を5段階評価している
写真提供:西川産業
[画像のクリックで拡大表示]

 西川産業では以前から、ねむりの相談所のようなサービス提供を検討していた。だが一連の手順が医療行為や医療機器の使用とみなされる可能性があり、サービス提供に二の足を踏んでいた。そこで産業競争力強化法が定める「グレーゾーン解消制度」を活用。3月21日付でねむりの相談所が医療行為に該当しないことが確認でき、今回のサービス提供に踏み切った。

 サービス開始は3月23日からで、まずは全国7店舗の直営店や百貨店、寝具専門店などで提供を始めた。順次、他の店舗に拡大していく予定。料金は、コンサルティングシートや質問票に基づくアドバイスは無料。活動量計を使ったアドバイスは1回当たり1000円を予定している。ただし、現在はサービス開始直後ということもあって無料で提供している。

■変更履歴
社名を「東京西川」としていましたが、正しくは「西川産業」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/03/23 19:20]