インターネット家電ベンチャーのCerevoは2017年3月23日、アニメ「攻殻機動隊 S.A.C.」に登場する多脚戦車「タチコマ」の1/8モデルである「うごく、しゃべる、並列化する。1/8タチコマ」(以下1/8タチコマ)を発表した。出荷開始は同年6月の予定で、同日から直販ストアで予約を受け付ける。価格は15万7400円(税抜き)。

写真1●1/8タチコマ。原作に合わせたリアルなデザインを目指した
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写真1●1/8タチコマ。原作に合わせたリアルなデザインを目指した

 Cerevoは劇中などに登場したアイテムを可能な限りリアルに再現するプロジェクト「S2R(From screen to the real world)」を展開しており、1/8タチコマはその第2弾となる。タチコマは劇中に登場する4足歩行型の戦車。歩行だけでなく、脚の先端が車輪に変化して走行も可能という設定になっている。運転者や整備士などと音声で対話する。また作戦内容や物体に関する知識などを戦車間で共有する「並列化」という仕組みを備える。

 1/8タチコマは原作のタチコマを再現するため、15個のサーボモーターと6個の直流モーターで22軸の自由度を持つ。4本の脚は3自由度で、原作同様手足のように動かして身振りを再現し、感情を表現できる。先端は車輪のみで走行による移動のみだが、「製品化までに歩行が可能になる可能性はある」(代表取締役の岩佐琢磨氏)という。

写真2●1/8タチコマを持つ岩佐琢磨氏
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写真2●1/8タチコマを持つ岩佐琢磨氏

 音声対話にはクラウドにあるAIサービスを活用。音声認識に米グーグルの音声認識APIを使い、自然言語対話にはJetrunテクノロジの「TrueText」、言語解析に基づく発話内容の決定には米マイクロソフトのCognitive Srevicesを利用している。1/8タチコマの声は原作で担当した声優の玉川砂記子さんが担当。固定の音声パターン600種以上に加え、玉川さんの声に基づく音声合成エンジンも搭載している。こうした仕組みから、直接的なコマンドではなく、あいまいな対話も可能になっている。例えば「週末の予定は?」と聞くと「25日15:00からデートの予定があるみたい」などといった回答が得られるようになっている。

 並列化を再現するため、画像入力に対する物体の認識も可能。「これ何?」と聞くと、AI技術を使って「…でしょ?」と回答する。そのときに1/8タチコマが知らないことを教えると、サーバーにその知識が伝達される。時間が経過すればすべての1/8タチコマでその情報を共有される。

 こうした対話型ロボットとしての機能に加え、スマートフォンで走行制御する機能もある。スマートフォンの画面は原作のイメージに合わせて作り込んだ。前面にあるカメラで画像を取り込んでクラウドに送信する機能も備えている。

写真3●スマートフォンの操作画面。原作の世界観に合わせたという。
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写真3●スマートフォンの操作画面。原作の世界観に合わせたという。