米Airbnbは2017年3月21日、観光情報に関する2サービスの内容を拡大した。貸し手(ホスト)が選んだ観光情報を紹介する機能について、対象都市に東京を追加。自宅などの借り手(ゲスト)が料理や伝統工芸などを体験できるサービスでは、東京に次いで大阪でも始めた。民泊に加えて観光関連サービスを拡充し、旅行全般を支援する。

盆栽師のMasashiさんが提供する盆栽のデザインと手入れを学べる体験講座のWebページ
盆栽師のMasashiさんが提供する盆栽のデザインと手入れを学べる体験講座のWebページ
(出所:米Airbnb)
[画像のクリックで拡大表示]

 拡充したサービスは「ガイドブック(Guidebook)」と「体験(Experience)」の2種類。ガイドブックはAirbnbが選んだ「エキスパート」が、地元のお薦めの観光情報を掲載するものだ。今回、東京のエキスパート50人を選び、約450件の情報を掲載した。内容は東京の自転車愛好家が集まる観光スポットや書道博物館、着物・和装品の店に関するガイドなどだ。

 「体験」として掲載しているのは、盆栽や風呂敷の使い方、築地市場での魚の仕入れ、和紙作りや家具作りなど。東京では100件、大阪は10件を、それぞれ公開している。

 「Airbnb利用者は宿泊施設に観光体験、観光スポットの情報を、一つのアプリで得られる。できあいの観光ツアーとは異なる、現地に溶け込んだ体験が可能になる」。来日した米Airbnbの共同創業者であるジョー・ゲビアCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)は、観光情報に関するサービスの意義をこう述べた。

日本国内で議論が進む「民泊新法案」については、「ホストへきちんと情報を提供していきたい」と述べるゲビア氏
日本国内で議論が進む「民泊新法案」については、「ホストへきちんと情報を提供していきたい」と述べるゲビア氏
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は2016年11月、「トリップ・プラットフォーム」と呼ぶ戦略を発表。民泊に加えて、現地での観光や地元住民との交流など、「包括的な旅行体験」(同)を提供する方針を打ち出している。「ガイドブック」と「体験」は、ともに同戦略に基づくサービスだ。

 サービスの対象を観光全般に広げることで、「体験の提供者に経済的な利点も提供できる」(ゲビアCPO)。Airbnbホストの中には、自宅の貸出で稼いだ額が6カ月で3000ドルだったのに対して、「体験」などを通じた観光案内では1万5000ドルを得たケースもあるという。