シスコシステムズ日本法人は2017年3月21日、企業向けのセキュリティクラウドサービス「Cisco Umbrella」を刷新して4月から提供を始めると発表した。

 Umbrellaは、同社が新たに打ち出した「セキュアインターネットゲートウエイ(SIG)」と呼ぶ製品ジャンルに分類されるクラウドサービス。SIGは、ユーザーの居場所や利用する端末の種類を問わず、働き方が変わったとしてもセキュリティを確保できるとする。

 Umbrellaはもともと、2016年10月に発表されたDNSベースのセキュリティクラウドサービスである。インターネットアクセス時に必ず実行される名前解決(ドメイン名を問い合わせてIPアドレスを得る)を利用して、悪質なサイトへのアクセスをブロックするといった対策を実施できる。

 4月に提供を始めるUmbrellaは、従来のUmbrellaにプロキシやファイル検査、サンドボックス、サードパーティ製品連携など、シスコが単体のサービスとして提供してきた機能を加えていき、SIGを実現するクラウドサービスとして仕上げたもの。2017年秋には、クラウド利用者の振る舞いを基に不正を検知できるクラウドサービス「CASBコントロール」(旧称CloudLock)を加える予定だ。

 Umbrellaの料金は発表していないが、一つの目安として、50人がUmbrellaの全機能を使う場合、1ユーザー当たり年額で1万円を切る程度という。

 同日、次世代ファイアウオールのエントリー機種「Cisco Firepower 2100シリーズ」を発表した。「ファイアウオールとアプリケーション識別を使うケース」と「ファイアウオールとアプリケーション識別に加えてIPSも使うケース」で同じスループットを実現するパフォーマンスなどが特徴だという。4月発売予定で、価格は未定。

Cisco Firepower 2100シリーズ
Cisco Firepower 2100シリーズ
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 シスコでセキュリティー事業を担当する田井 祥雅執行役員は、強力に推進していきたい事項として「セキュリティオペレーションのシンプル化、他社製品ともつなげられるオープン化、(管理者の)作業量軽減のための自動化」の3点を挙げた。

シスコシステムズ 執行役員 セキュリティー事業担当の田井 祥雅氏
シスコシステムズ 執行役員 セキュリティー事業担当の田井 祥雅氏
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 田井執行役員によると、シスコシステムズはエンドポイント、ネットワーク、クラウドを単一の大きなアーキテクチャーとして捉えて、少数のモニタリングシステムからチェックできるようにすることを目指し、それに適したサービスを提供していく。脅威解析専門組織である「Talos(タロス)」を通じて、脅威の判定を迅速に下す取り組みを日々続けているという。

■変更履歴
最終段落で「TAROS」としていましたが、「Talos」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2018/03/15 13:55]