東京工業大学は2017年3月15~16日、米スタンフォード大学の「Hasso Platner Institute of Design at Stanford(通称、d.school)」のチューター3人を講師(ファシリテーター)に招いたワークショップを開いた。東工大の学生のほか、東京大学、慶応義塾大学、東京芸術大学など他大学の学生含め合計40人が「通勤・通学体験を再設計する」を題材とした仮想の製品開発に取り組んだ(写真1)。

写真1 東京工業大学で行われたデザイン思考ワークショップ
写真1 東京工業大学で行われたデザイン思考ワークショップ
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 d.schoolは「デザイン思考」を教えるデザインスクール。デザイン思考は米シリコンバレーを拠点とする多くのベンチャー企業が商品開発のアプローチ方法に取り入れている。最近ではベンチャー企業だけでなく、「ゼネラル・エレクトリック(GE)やプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などの大手企業も採用している」(今回講師として参加したトーマス・ボース氏、写真2)。

写真2 チューターの1人であるトーマス・ボース氏
写真2 チューターの1人であるトーマス・ボース氏
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 デザイン思考のポイントは、顧客が抱える課題に注目し、そして解決方法を自ら考え、実際に試作品を作り、想定顧客にインタビューするなど「体を動かす」ことにある。

 今回のワークショップでも、通勤・通学体験の再設計というテーマに沿って、4人1組となった各チームは、大学近くの駅などに足を運んで多くのインタビューを実施。終盤の16日午後には想定顧客を会場に招き、紙などで作った試作品を試してもらい、その挙動やコメントを参考に各チームは製品を再設計した。

 今回のワークショップを主催した、東工大グローバルリーダー教育院(AGL)特任教授の山田圭介氏は、「このワークショップを通じて、デザイン思考のプロセスだけでなく、さらに重要な『マインドセット』を、多くの学生に理解し、取り入れてもらいたい」とする。同ワークショップを今後も継続的に行う予定という。