光産業技術振興協会(光協会)は2017年3月14日、2016年度の光産業動向調査の結果を発表した。今回発表したのは、光産業の全出荷額(日本企業の海外生産を含む)および国内生産額の2015年度実績、2016年度見込み、2017年度予測(定性的評価)である。同調査は1980年から毎年実施しており、今回が37回目となる。調査結果は政府の関連機関が予算を策定するときなどに活用している。

 2016年度の光産業全出荷額は、前年度比13.7%減の14兆5170億円。同5.1%減だった前年度よりも落ち込み幅が拡大した。「ITバブル崩壊やリーマン・ショックといった社会的要因がない年度ではかつてない下落」(光産業技術振興協会 専務理事の小谷泰久氏)と評した。2017年度もやや減少と予測する。「太陽電池や4Kテレビなど需要を先取りした分野で単価が下がり続けている。しばらくはその調整期間が続く」(同)。

写真1●光産業技術振興協会 専務理事の小谷泰久氏
写真1●光産業技術振興協会 専務理事の小谷泰久氏
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 同調査が対象とする分野は次の7つ。光ネットワーク機器などの「情報通信」、光ディスクなどの「情報記録」、デジタルカメラや複合機などの「入出力」、フラットディスプレイやLED照明などの「ディスプレイ・固体照明」、太陽光発電システムなどの「太陽光発電」、レーザー加工装置などの「レーザ・光加工」、光測定器などの「センシング・計測」である。このうち、金額の大きい「ディスプレイ・固体照明」「入出力」「情報記録」「太陽光発電」の4分野が大きく下がり、全体の足を引っ張った(図1)。

図1●光産業全出荷額の分野別年度推移
図1●光産業全出荷額の分野別年度推移
(出所:光産業技術振興協会)
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 特に「ディスプレイ・固体照明」分野は前年度が同5.3%増と好調だったことから今年度は増加を見込んでいたが、ふたを開けてみると同12.2%減の5兆7469億円と期待を裏切った格好になった(図2)。4Kテレビの伸びが鈍化し、世界的な競争激化に伴う価格低下が響いた。また、米アップルの「iPhone」が世界市場で減退したことことから、ディスプレイ素子が大きく落ち込んだことが影響した。

図2●光産業出全出荷増減額の分野別寄与度推移
図2●光産業出全出荷増減額の分野別寄与度推移
(出所:光産業技術振興協会)
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