米Intelと衝突防止技術のイスラエルMobileyeは現地時間2017年3月13日、IntelがMobileyeを約153億ドル(約1兆7600億円)で買収することで最終合意したと発表した。9カ月以内の手続き完了を見込んでいる。

 Intelは同買収により、自動車産業向け技術革新の加速と、完全自動運転車市場における地位確立を図る。Intelは自動車関連システム、データおよびサービス市場が2030年までに最大700億ドルの規模に成長すると予想している。

 合意条件のもと、Intelの子会社はMobileyeのすべての発行済み普通株式を対象に株式公開買い付け(TOB)を実施する。買収額は1株当たり63.54ドル。Mobileyeの企業価値を147億ドルと見積もった上での金額という。

 63.54ドルという金額は、前営業日(3月10日)の終値より34%高い。買収の報道を受け、3月13日の株価は一時30%上昇し、61ドルを超えた。

 Mobileyeは1999年に設立され、自動運転車および先進運転支援システム向けのコンピュータビジョン、機械学習、データ分析、センサーフュージョン、マッピングといった技術を手がけている。IntelとMobileyeは以前より提携関係にあり、ドイツBMWを含む3社で完全自動運転車開発について協力体制を敷いている。Intelの自動運転車向けの新ソリューション「GO」とMobileyeのコンピュータビジョンプロセッサ「EyeQ 5」を組み込んだ「BMW 7 Series」の公道テストを2017年後半までに開始する予定。

 またMobileyeは自動車部品メーカーの英Delphi Automotiveと完全自動運転車向けソフトウエア開発で2016年8月より提携しており、Intelは同11月に、Delphiの完全自動運転車にプロセッサを供給することで提携を結んだ。

 Intelは自社の自動運転関連部門とMobileyeを統合した事業をイスラエルに置き、Mobileyeの共同創業者で会長兼最高技術責任者(CTO)でもあるAmnon Shashua氏を責任者に任命する。IntelのDoug Davis上級バイスプレジデントが業務統合を指揮し、Shashua氏の直属となる。

 従来のパソコン向け半導体事業が縮小傾向にあるIntelは、利益が見込める新たな市場として自動運転車に焦点を当てている。昨年11月に、完全自動運転車の実現に向けて2億5000万ドルを投じると発表し、1月には、デジタル地図サービスのドイツHEREに出資して株式の15%を取得する計画を明らかにしている。

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