ディー・エヌ・エー(DeNA)は2017年3月13日、キュレーションメディア事業に関する第三者委員会の調査報告を受けて会見した。守安功代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)は問題の根本原因として、同事業の価値や意義があいまいだったことと管理やチェック体制の不備を挙げた。代表取締役に復帰する南場智子会長は同事業を再開する見通しを「全くの白紙」と説明。仮に再開するとしても形を変え、「収益の柱になることはあり得ない」と述べた。

会見する守安社長(中央)と南場会長(右)
会見する守安社長(中央)と南場会長(右)
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 「第三者委員会の指摘を重く、真摯に受け止める」。守安社長は謝罪とともにこう述べた。

 守安社長は問題の本質的な原因として、利用者に提供する価値の議論が不足していたこと、キュレーション事業はプラットフォームなのかメディアなのかという定義や理解をあいまいにしたまま事業を進めたこと、問題の早期発見やコンプライアンス(法令順守)の体制が不備だったことを挙げた。「キュレーション事業でどんな価値を提供するのか、社会的な意義は何なのかを徹底的に議論しておらず、ちぐはぐになった。攻めの事業展開をするなら、それと同じくらいじっくり足場を固めて、管理やチェックの体制を築く必要があった」(同)。

 DeNAは2016年12月時点で、著作権侵害のおそれがある記事に関する問い合わせ窓口を同社Webサイトに設けた。「多数の問い合わせをいただいた。内容に応じて一件ずつ対応している」(守安社長)。ただし、非公開にした10サイトに掲載していた記事のうち、問い合わせを受けていない記事について同社が一件ずつ権利者を確認する作業はしないという。「多数の著作権侵害の疑いがあるということで、大変反省している。ただ、画像や文章でどのように著作権侵害のおそれがあるのか、著作権者をどう特定するのか議論はしたが、当社から能動的にアプローチするのは技術的に難しい。問い合わせ窓口を設けて広告などで周知するのが、現状は最善だろうと考えている」(守安社長)。