NTT東西は2017年3月13日、加入電話網(PSTN)のIP網への移行に伴い、サービスの終了を予定している「INSネット ディジタル通信モード」の補完策を提供する方針を発表した。料金や提供条件については4月以降に早期に公表する。

写真●NTT東日本のWebサイトに公表された報道発表資料。
写真●NTT東日本のWebサイトに公表された報道発表資料。
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 NTT東西は、現行のPSTNが2025年頃に維持限界を迎えることを受け、IP網に移行する方針を示している。ユーザーへの影響を最小限にとどめるため、既存のメタル回線をそのまま使い、中継部分だけをIP網に切り替える。電話機の交換や宅内の工事は不要。基本料は現行と同等の水準を維持し、通話料は距離に依存しない体系とした「メタルIP電話」(光IP電話と区別するための呼称)を新たに提供する予定である。

 INSネットについては、音声通話の提供を継続する一方、ディジタル通信モードを2020年度後半に提供終了すると表明していた。だが、ディジタル通信モードはEDI(電子データ交換)やPOS(販売時点情報管理)、警備端末、ラジオ局などで幅広く活用され、移行期間や代替手段に関する不満が相次いだ。

 NTT東西はこれを受け、検証環境を構築して補完策の検討を開始。ディジタル通信モードに比べて処理時間が増加するケースはあるものの、端末間のデータ送受信に活用できることを確認できたため、今回の発表に至った。補完策はメタルIP電話のオプションとして提供する考えで、「現行よりも高いと補完策にならないため、追加負担が生じない水準を目指している」(NTTグループ幹部)。

 2020年度後半としていた終了時期も後ろ倒しを検討している。「終了時期は結局、他の事業者とIP接続に切り替える時期と一緒になるため、2025年に近くなる可能性が高い」(同)としており、3~4年の猶予を見込めそうだ。