ディー・エヌ・エー(DeNA)は2017年3月13日、医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」をはじめとする同社キュレーションメディア事業の不祥事に関して、第三者委員会による調査結果を公表した。同事業の著作権侵害や倫理上の問題点を挙げ、利益などの「数値偏重から公正な稼ぎ方を再検討すべき」と指摘した。

 調査結果を受けてDeNAは、南場智子取締役会長を代表取締役会長に選任。守安功代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)との2頭体制で管理体制を強化する。

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 調査委員会はWELQをはじめとする同社キュレーションメディアの10サイトの記事37万6000件あまりについてサンプル調査を実施。複製権や翻案権を侵害している恐れのある記事の出現率を1.9~5.6%の範囲などとしたうえで、公衆送信権や同一性保持権などを侵害している可能性もあると指摘した。

 内容に関してクレームがあった場合でも、「プロバイダ責任制限法」の適用を受けられないのに「プラットフォーム提供者としてプロバイダ責任制限法の適用を受けられるかのような対応をしていた」(同委員会)。再発防止にあたっては、事業全般やキュレーション事業そのものについて再検討すべきと指摘した。

 DeNAは調査結果を受けて、関係者の新たな処分を発表した。守安CEOについては、月額報酬の50%を6カ月減額するとした。2016年12月時点では30%だった。

 キュレーションメディア事業を統括していた村田マリ執行役員メディア統括部長兼Palette事業推進統括部長についても、就業規則に基づいて処分した。村田氏は3月12日時点で、同社執行役員と関連するキュレーションメディア事業会社iemo、Find Travelの各代表取締役を辞任する意向を表明しているという。

 今後は守安CEOと南場会長の2頭体制で監視体制の強化や意識改革を図るとしている。執行役員や事業本部長などの事業責任者については、候補者検討の段階から社内取締役と社外取締役が人物を評価するなど、「より客観的な視点から選定プロセスを進められるようにする」(同社)。経営陣や役職員の意識改革が不可欠として、「取締役会や経営会議においても、事業としての定義や顧客提供価値、また倫理観について徹底して議論を尽くす」(同社)。