企業や有識者、総務省、経済産業省から成るIoT推進コンソーシアムは2017年3月10日、「新たなデータ流通取引に関する検討事例集ver1.0」を公表した。「交通事業者がウェアラブル端末で取得した従業員の健康データをヘルスケアサービス事業者に提供する活用」や「店舗内設置カメラで取得した画像などの来店客の行動データをマーケティング活動に活用」など、個人データを含む具体的な取引事例を基に「データ流通促進ワーキンググループ」の委員の助言内容をまとめた。

 IoT推進コンソーシアムは2016年1月にデータ流通促進ワーキンググループに設置し、原則非公開で企業などから寄せられた個別相談事例の課題解決や事業化の後押しを検討してきた()。

図●新たなデータ流通取引に関する検討事例集
図●新たなデータ流通取引に関する検討事例集
(出所:IoT推進コンソーシアム)
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 検討事例集ver1.0は、2016年1月から2017年3月まで扱った20件の事例に基づいて、プライバシー保護とデータ活用のバランスを踏まえて、「データの利用目的」「データの種類」「データの利用範囲」などの観点から、データの流通サイクル(取得時、加工・蓄積時、提供・二次利用時)に沿って、委員からの助言内容などを記載している。

 具体的な事例として、「商用車の走行履歴データの活用」では走行履歴データから分析データを生成する場合の留意点、「駐車場稼働データの活用」では車番の取り扱いに関する留意点などを記載している。「公共空間から取得されるセンシングデータの活用」では公共空間にセンサーを設置する場合の留意点をまとめている。

 事例に対する共通意見として、個人データについては個人情報保護法などを順守し、個人データに関わる本人との信頼関係が「レピュテーションリスクを最小限に抑えることにつながる」と指摘。そのためには取得する情報を必要最小限にとどめることや、利用目的や利用範囲などを分かりやすく示したり、問い合わせや苦情に対応する専用の窓口を設けたりすることなどで、情報の取り扱いについて透明性を確保することが必要だとしている。

[新たなデータ流通取引に関する検討事例集ver1.0]