携帯電話の標準仕様を策定している「3GPP(Third Generation Partnership Project)」は2017年3月9日、第5世代移動通信システム(5G)の無線方式である「5G NR(New Radio)」の新たな仕様策定スケジュールを公開した。

3GPPが公開した5Gの無線方式「5G NR(New Radio)」の新たな仕様策定スケジュール
3GPPが公開した5Gの無線方式「5G NR(New Radio)」の新たな仕様策定スケジュール
(出所:3GPP)
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 従来の予定を3カ月前倒しし、LTEとの併用を前提としたNSA(Non-standalone)と呼ばれる5G NRの仕様策定を2018年3月までに完了するスケジュールとする。その3カ月前の2017年12月には、ステージ3と呼ばれる詳細プロトコルやパラメータを定めた仕様を固める。

 3GPPで仕様が固まってからおよそ1年半から2年で商用システムが導入されることが多い。今回のスケジュール前倒しによって、2019年中の5Gの商用展開が見えてきた。

 3GPPの決定に先立つ2017年2月26日には、スペイン・バルセロナで開催されたモバイル関連の展示会「Mobile World Congress 2017」に合わせて米AT&TやNTTドコモなど業界の主要企業22社が連名で、5G NRのNSA仕様の早期策定に向けて合意したことを発表していた。

 3GPPはその翌週の2017年3月6日から9日にかけてクロアチアでプレナリ会合を開催。この会合で5G NR仕様の早期策定に向けた共同提案書(RP-170741)に名を連ねた企業は47社に広がり、提案に合意したという。なお今回の提案書には前回、名前が無かった米ベライゾンや中国移動、中国電信などの中国勢も含まれている。

 5Gの展開シナリオは、LTEとの併用を前提とするNSAのほか、5G単独で動作するSA(standalone)型も検討されている。5G NRのSA仕様は2018年6月までにステージ3仕様を固め、同9月までに仕様策定を完了する計画となる。これらの仕様は3GPP Release 15の一部となる。

 3GPPは5Gの標準化を二つのフェーズに分けて進めている。Release 15で策定する5Gの機能は、超高速・大容量を実現する「eMBB(Enhanced Mobile Broadband)」と一部の低遅延機能となる。

 5Gは超高速・大容量のほか、多数同時接続「mMTC(Massive Machine Type Communication)」や超低遅延「URLCC(Ultra Reliable and Low Latency Communication)」の実現も目指している。これらの機能については、Release 15の次のRelease 16にて仕様策定する予定だ。