東京金融取引所と富士通は2017年3月10日、市場監視業務の精度向上と効率化に向けた共同検討の実施で合意したと発表した。東京金融取引所の市場監視のノウハウと、富士通のAI技術(アノマリー検知技術)のノウハウを組み合わせる。アノマリー検知を活用すると、異常や故障につながる状態変化(予兆)を高精度で捉えることができるという。

共同検討の概要
共同検討の概要
(出所:東京金融取引所、富士通)
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 安定した市場を維持するため、東京金融取引所はマーケット常時監視し、適正な価格形成を妨げる注文の検知や、市場流動性の変化、急激な価格変動に対して所要の対応を講じている。今回、AI技術を活用して、過去から現在までの注文、市場流動性、価格変動を基に、異常を判断することで、市場監視業務の精度向上、効率化が達成できるかを検証する。

 検証では、富士通が提供する「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics 予兆監視モデル」(ODMA予兆監視モデル)を利用したアノマリー検知を行う。過去1年の取引データを機械学習することで“いつもの状態”のモデルを自動生成し、運用段階で常時発生するデータを作成したモデルと突き合わせて“いつもと違う状態”(アノマリー)を自動検出できる。既に検証を開始しており、2017年度末まで実施する予定。

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