政府は2017年3月10日、「住宅宿泊事業法案(民泊新法案)」を閣議決定した。自宅を貸し出す民泊を一定のルールの下で解禁する内容。都道府県知事への届け出や年間提供日数を上限180日とするといったルールを盛り込んだ。

 同事業の世界最大手、米Airbnb(エアビーアンドビー)の日本法人は同日、閣議決定を歓迎する声明を発表。観光振興団体と協業するなど、事業を加速する考えだ。

 民泊新法案は民泊にかかわる事業者の区分やそれぞれの義務、運営上のルールなどを定めたもの。政府は閣議決定を受けて、今国会での成立を目指す。

 民泊新法案では、貸し出す物件の家主が居住するタイプと不在のタイプに運営事業者を区分。後者の「家主不在型」事業者については、運営を代行する「住宅宿泊管理業者」に住宅の管理を委託することを義務付けた。

 住宅宿泊管理業者は届け出制ではなく国土交通大臣の登録を義務付ける。貸し手と借り手をマッチングする「住宅宿泊仲介業」についても、観光庁長官の登録が必要とした。

 Airbnb日本法人であるAirbnb Japanの田邉泰之社長は同日、「閣議決定をうれしく思う」との声明を発表。「持続可能な形で、ホームシェアを含む短期賃貸が日本全国で普及するよう、引き続き日本政府や関係者の皆様と協働する」とした。

 同社は併せて、地域の観光振興を手掛ける一般社団法人のRCFと協業した。今後、民泊を使った観光振興に関心を持つ地方自治体などを募り、都市と周辺を巡る周遊型観光と民泊を組み合わせるといった事業モデル作りを目指す。