レノボ・ジャパン、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、NECパーソナルコンピュータ、モトローラ・モビリティ・ジャパンの4社は2017年3月9日、東京・秋葉原のレノボ・ジャパン本社オフィスに勤務する約800名の正社員・派遣社員を対象とした「第二回テレワークデー」を実施した。

 同社は2016年3月に「第一回テレワークデー」を開催し、その後、2016年4月にテレワークを正式導入している。2回目となる今回は、午前10時から本社オフィスにて、報道向けにテレワークデーの概要説明会を開催。97%の従業員がテレワークによりオフィス以外の場所で働いている状況を紹介した。

 記者説明会の冒頭、レノボ・ジャパンの代表取締役社長 留目 真伸氏は「レノボがワークスタイル変革で目指すのは、多様性のある働き方だ。介護離職者や単身赴任者をできる限り少なくする取り組みで、理想のワークライフバランスを追及する」とテレワーク実施の意義を語った。続けて、デジタルトランスフォーメーションが進展するなか、「レノボ・ジャパンだけでなく、他社との『共創』を視野に入れ、新たな価値を創造できる『攻めのテレワーク』を実践していく」と方向性を示した。

レノボ・ジャパン 代表取締役社長 留目 真伸氏(撮影:下玉利 尚明、以下同じ) 
レノボ・ジャパン 代表取締役社長 留目 真伸氏(撮影:下玉利 尚明、以下同じ) 
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 留目氏はレノボ・ジャパンの未来の働き方には「共創による価値創造」「流動性の高い資本・人材」「プロジェクトの成果優先」の3つが重要な要素になると説明。「共創や成果優先といった企業としての『ビジョン・カルチャー』の共有、共創を生み出す『ツール』の活用、そしてフレキシブルなワークスタイルを認める『制度・ルール』の整備が大切だ」と述べた。

 続いて登壇したレノボ・ジャパンのレノボ働き方改革 推進プロジェクトリーダーの村上 武士氏は、2015年11月に実施したテレワークのテスト導入時に実施したアンケート結果を発表。テスト導入期間中に1度でもテレワークを実施した社員の割合(実施率)は90%にも達し、「従業員の78%がワークライフバランスが向上し、48%が生産性が向上したと回答した」(村上氏)という。ところが、2016年4月の正式導入から4カ月後の調査では、実施率が30%に低下。村上氏によると、アンケートでは「上司がテレワークに否定的」「チームのメンバーがテレワークを実施しないのでやりずらい」といった声が聞かれたという。

 そこで、2016年10月17日〜11月30日にかけて「秋のテレワーク祭り2016」と銘打ったキャンペーンを実施。テレワークの長所や課題を理解する取り組みやテレワークによる共創をテーマとしたビジネスコンテストを実施したり、テレワークの実践をFacebookやTwitterなどのSNSに投稿したりする活動を展開した。「その結果、2016年11月半ばには実施率が64%にまで回復。「今後も継続的な取り組みでテレワークを定着させたい」(村上氏)考えだ。

レノボ・ジャパン レノボ働き方改革 推進プロジェクトリーダーの村上 武士氏
レノボ・ジャパン レノボ働き方改革 推進プロジェクトリーダーの村上 武士氏
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 レノボ・ジャパンがテレワーク定着のために実施したキャンペーンで注目すべきなのは「攻めのテレワーク」を実践するための、テレワークを活用した共創への取り組みだ。村上氏は、自らが福岡市のコワーキングスペースを活用して1週間、テレワークを実施したことに触れながら、「地域のNPO法人の方々との関係を新規に構築し、経済的な困難を抱える子どもたちにパソコンを提供する取り組みを『共創』している」と述べた。テレワーク導入で働き方改革を実現するとともに、その先にある「社外との共創」の実現に向けた取り組みにも注力しているという。

 説明会の最後に登壇したレノボ・ジャパン 人事担当執行役員の上南 順生氏は、「人事面では介護離職者、単身赴任者を限りなく減らすことが重要。介護離職者ゼロ、単身赴任者ゼロを目標に掲げて取り組む」と語った。レノボ・ジャパンでは従業員の平均年齢が男性46.6歳、女性が42.7歳で、「40代以上のいわゆる介護世代が77%を占めている」(上南氏)という。また、「単身赴任者の99%が介護世代」である。レノボ・ジャパンでは2017年4月1日から、ある社員が北海道で介護を行いながらテレワークで働くことを認めるなど、ライフステージに合わせた柔軟な働き方の実現を進めているという。

レノボ・ジャパン 人事担当執行役員 上南 順生氏
レノボ・ジャパン 人事担当執行役員 上南 順生氏
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説明会後に報道陣に公開されたオフィス。ほぼすべての従業員がテレワーク中とあって無人だ
説明会後に報道陣に公開されたオフィス。ほぼすべての従業員がテレワーク中とあって無人だ
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