神戸市の久元喜造市長は2017年3月9日、日経BP社主催の「Cloud Days/ビッグデータ EXPO/セキュリティ/モバイル&ウエアラブル/IoT Japan/ワークスタイル変革/FACTORY/デジタルマーケティング」のキーノートセッションに登壇した。

神戸市の久元喜造市長
神戸市の久元喜造市長
(撮影:井上裕康)
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 「神戸市は1868年に開港し、海外からいろいろなものを受け入れて独特の文化、風土を育ててイノベーションを続けてきた街だ」。久元市長はこのように話し、国際交流を通じてスタートアップ企業やアフリカの支援をしている同市の取り組みを紹介した。

民間企業出身者を登用

 「経済変革をけん引するのはスタートアップではないかと考えた」。久元市長はスタートアップ企業を支援する理由をこう話した。神戸市はスタートアップ起業支援のため、民間企業出身の人員を採用している。「チーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)」という役職も新設したという。

 久元市長がスタートアップ企業への支援プログラムとして紹介したのが、「500 Kobe Pre-Accelerator」。サンフランシスコを拠点とするベンチャーキャピタル「500 Startups」が協力するプログラムで、参加者は500 Startupsのメンターから事業内容についてアドバイスを受けられる。最終日に投資家の前で事業プランを発表する機会が得られる。

 「1カ月以上拘束される長期プログラムにもかかわらず、海外を含む205のグループから応募があった」(久元市長)。2016年8月に開催したプログラムは18チームが参加し、9チームが2000万~5000万円の資金調達をしたという。

 ほかにも神戸市ではスタートアップ企業への支援として、三宮駅の近くに「神戸スタートアップオフィス」を開設。利用者は約3カ月間オフィスを利用でき、起業経験者からアドバイスを受けられるという。

 久元市長は「神戸スタートアップオフィスの利用者の中から、業界では無名の起業家が大手企業とパートナー契約を結ぶといった成果が出ている。これからの活躍が楽しみだ」と話した。

「震災時の支援を忘れない」

 久元市長は神戸市が実施するアフリカへの支援も紹介した。神戸市はアフリカから留学生の受け入れやアフリカの現地企業と日本企業とのマッチングするイベント開催といった施策を実施している。アフリカのルワンダ共和国とは、ICTで連携する旨の共同声明に署名している。

 久元市長は「ルワンダは過去に内戦で多くの住民が被害を受けた。内戦を生き抜いた子供たちが20歳、30歳へと成長し、ルワンダの未来を支えようとしている。その支援ができることは名誉なことだ」と話す。

 「神戸も過去に震災で大きな被害を受けたことがある。被災時に国内外から多くの支援を受けた。そのときの感謝を忘れずに、グローバルに貢献を続ける街でありたい」。久元市長はこのように締め括った。