保険大手のSOMPOホールディングスがデータサイエンティストの中途採用を強化するため、新たな試みを開始する。IT関連人材の養成学校を運営するデジタルハリウッドと組み、2017年4月から社会人向けの実践的なデータサイエンティスト養成講座を開催。受講生の中から優秀な人材を採用する。

 「当社グループはデジタル技術を活用したビジネス変革を強力に推進しており、優秀なデータサイエンティストの確保と育成が急務。しかし、そうした人材は日本全体で枯渇していることから、養成講座の開催と採用を同時に進めることにした。この養成講座の全参加者に採用の可能性がある」。SOMPOホールディングスの楢崎浩一執行役員グループCDO( 写真)は新たな人材採用策についてこう説明する。

写真●SOMPOホールディングスの楢崎浩一執行役員グループCDO
写真●SOMPOホールディングスの楢崎浩一執行役員グループCDO
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 養成講座の名称は「DATA SCIENCE BOOTCAMP」。データ分析の知識を有し、新事業開発の仕方を理解する人材を育てるための約3カ月間のプログラムで構成する。最初の1カ月間は「微分と単回帰分析」「機械学習概論」などデータサイエンティストとして必要な知識を習得する。

 残りの2カ月間は、数人ごとのチームに分かれ、SOMPOホールディングスが所有するデータを分析することで新サービスの企画を実際に立案する。分析可能なデータは、「SOMPOホールディングス社員3000人のバイタル・血糖値などのデータ」と「SOMPOホールディングスの商用車2万台に付けたドライビングレコーダーのデータ」の2種類。

 サービス企画については、データ分析を手掛けるベンチャー企業の経営者などがメンターとしてアドバイスする。各チームは最終日に立案した企画をプレゼンテーションする。ちなみに、養成講座で立案したサービス企画の著作権はSOMPOホールディングスに帰属する。

 養成講座の定員は25人。受講資格は「事業創造・新規事業・データサイエンスへ強い興味を持っていること」「Pythonの基礎を理解していること」など。「受講前にデータ分析の知識を持っているかどうかは問わない。新規事業に対して熱い思いを持っている方に来ていただきたい」と楢崎執行役員は言う。受講料は9万8000円(税別)だが、全プログラムを修了した受講生には5万円の返金があるという。