米IBMと米Salesforce.comは現地時間2017年3月6日、人工知能(AI)の活用に関するグローバルな戦略的提携を発表した。AIを利用した共同ソリューションを企業に提供し、より迅速に適切な判断を下せるよう支援するとしている。

写真●左から米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEO(最高経営責任者)と、米IBMのジニー・ロメッティ会長、社長兼CEO
写真●左から米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ会長兼CEO(最高経営責任者)と、米IBMのジニー・ロメッティ会長、社長兼CEO
(出所:米IBM)
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 共同ソリューションでは、IBMのコグニティブコンピューティング技術「Watson」とSalesforce.comの機械学習プラットフォーム「Einstein」を統合し、企業がいっそう高度な顧客エンゲージメントを実現できるようにする。またIBMは、Salesforceアプリケーション対応の企業サービスを強化し、WatsonおよびEinsteinの統合導入を促進する。

 具体的には、2017年後半を目処に、Watsonの各種APIをSalesforceアプリケーションに実装する。Watsonを通じて社内外のデータから得られる予測洞察と、Einsteinによる顧客関連の予測洞察を組み合わせ、営業、サービス、マーケティング、コマースにわたってすばやい意思決定を可能にする。

 また、「Salesforce AppExchange」用の新しいLightningコンポーネントとして、IBM傘下の米Weather Companyのデータを利用する「IBM Weather Lightning Component」を2017年後半にリリースする。顧客関係や業績に影響を及ぼす可能性がある気象情報に基づいた通知配信を実現できる。

 さらに、社内の企業データとクラウド上のデータからWatsonが得た洞察を、「Salesforce Intelligent Customer Success Platform」で直接処理するための「IBM Application Integration Suite」を今月中にリリースする。例えば資産アドバイザーは、同スイートを使って個人投資やリスクプロファイルといったクライアントデータを金融トレンドやマクロ経済情報などと統合し、クライアントに最適な判断をSalesforceアプリケーション内で下すことができる。

 IBMが昨年買収した米BluewolfはWatsonとEinsteinの迅速な導入を支援する新チームを結成したほか、産業ごとに特化した導入促進ツール「Solution Accelerators」を今年後半に利用可能にする。

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