ワコムは2017年3月6日、普通紙に手描き入力した文字や絵などを「デジタルインク」に変換し、バーチャルリアリティー(VR、仮想現実)技術を使って3次元のインクとして表現するコンセプトモデルを発表した。VRコンテンツの企画・開発を手掛けるWHITEと共同開発したもの。米オースティンで3月10~19日(現地時間)開催される「South x Southwest」に出展する。

ワコムらが開発した3次元インクを閲覧する様子
ワコムらが開発した3次元インクを閲覧する様子
(出所:ワコム、以下同)
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 今回開発したコンセプトモデルは、来場者がワコムのペンタブレット「Intuos Pro Paper Edition」を使って描いた図形をデジタルインクに変換。内部にスマートフォンを装着する組み立て式の簡易VRゴーグル「MilboxTouch(みるボックスタッチ)」のVR画面上に3次元画像として投影する。

 惑星をモチーフにしたVR空間にデジタルインクを映し、視点を変えながらさまざまな角度で眺めることができる。例えば、ズームアウトして宇宙空間から人工衛星の視点で見ると、インクはボールに巻かれたカラーテープのように見える。また、ズームインして視点を惑星の地上へ移動すると、今度は同じインクを上空に浮かぶ飛行機雲のように見上げることができる。

VR空間にデジタルインクで描いた画像の例
VR空間にデジタルインクで描いた画像の例
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 身近にあるペンを使って、手近な場所から遠く離れた空間まで、巨大な物体から小物まで、制約なく表現できる。立体感を出すための「奥行き」データは、筆圧の強弱で取得した。作成したVR画像はChrome Browserベースで、来場者はその場で発行するQRコードを持ち帰り、自分のスマートフォンで再生できる。

 ワコムは、ペンタブレット製品群やデジタル文具への取り組みを通じてデジタルインクの利用について探求を重ねており、今年1月には米ラスベガスで開催されたデジタルステーショナリーコンソーシアム推進イベントで、「Bamboo Slate」を使用して紙に書いたものをデジタルインクに変換し、「喜・怒・哀・楽」の脳波データとともに記録してパソコン上で再生するコンセプトモデルを米NeuroSky社と共同開発・展示した。