米IBMは2017年3月6日(現地時間)、量子コンピュータを操作する新しいAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を公開した。同社が開発する量子コンピュータ「IBM Q」を使うクラウドサービス「Quantum Experience」の中で提供する。新APIは量子コンピュータを操作するだけでなく、汎用コンピュータと接続してシステムを構築することを想定したもの。

米IBMが開発中の量子コンピュータ「IBM Q」
米IBMが開発中の量子コンピュータ「IBM Q」
出所:米IBM
[画像のクリックで拡大表示]

 汎用コンピュータが0か1かを表す1ビットを使って計算するのに対して、量子コンピュータは0と1を重ね合わせた1量子ビットを計算に使う。量子ビットを使うと複数の値を重ね合わせて1度に計算できるが、計算結果も重ね合わせの状態となるため汎用コンピュータとは異なる計算アルゴリズムが必要だ。

 新しいAPIは量子ビットを使った計算アルゴリズムを知らなくても量子コンピュータを操作できるという。

 IBMは量子コンピュータの商用利用を目指しており、開発中の量子コンピュータをQuantum Experienceで公開している。Quantum Experienceでは量子コンピュータを操作できるだけでなく、量子コンピュータを操作するチュートリアルやシミュレーションができる。

 新APIの公開に合わせてIBMは量子コンピュータのシミュレーターを強化。20量子ビットの量子コンピュータを使った計算モデルをシミュレーションできるようになった。Quantum Experienceで利用できる量子コンピュータは5量子ビットだが、IBMは今後数年間で50量子ビットの量子コンピュータを構築する計画だ。