早稲田大学ジャーナリズム研究所が運営するネットメディア「ワセダクロニクル」は2017年3月2日、一般社団法人共同通信社(以下、社団共同)の100%子会社である株式会社共同通信社(以下、KK共同)の所属者が、ニキビ治療薬に関するPR記事を執筆し、社団共同の記事としてPR表記なしで地方紙に配信していたとする記事を掲載した。

 記事によればKK共同は、記事配信の見返りに、ニキビ治療薬の製薬会社を顧客とするPR会社から60万円を受け取っていたという。この配信記事は、これまで同メディアが追っていた脳梗塞予防の抗凝固薬に関する配信記事とは異なるもの。

 ワセダクロニクルの記事によれば、社団共同は同メディアの取材に対し、当初は「KK共同より提供された資料をもとに、社団共同の記者が独自に取材して執筆、配信した」と回答していた。だが、社団共同は後に「当該記事の実質的な執筆者は、KK共同の医療情報センター長だった」と訂正するお詫びの文章を送ってきたという。

 KK共同は以前、PR会社からKK共同に持ち込まれた案件の扱いや、KK共同と社団共同の関係に関する本誌の問い合わせに対し、「KK共同がメディアに紹介するに値する情報かどうかを判断、選別した上でメディア(指摘される今回の件では社団共同)に紹介している。あくまで『紹介』であって、社団に『取材依頼』をしているわけではないし、『先に記事配信ありき』ではない」と回答していた。

 KK共同は、事実関係についての本誌の問い合わせに対し、以下の様に回答した。(取材は文章と電話をベースに行われた。以下、語尾の表現などを編集した回答を掲載する)

ワセダクロニクルにお詫びの文章を送信したのは事実か。これまでKK共同が示していた、KK共同と社団共同の関係についての見解に変更はないか。

 「ワセダクロニクル」に対する回答の一部に誤りがあることが分かったので、訂正した。当社のこれまでの見解に変更はない。

“KK共同社員が実質的な執筆者である記事を、社団共同として配信した”ことも、KK共同が本誌に示した見解でいうところの「KK共同から社団共同への紹介」に当たるということか。

 「紹介である」ことを含めて当社のこれまで伝えた見解に変更はない。KK共同が記事スタイルで資料を作成し、社団共同の編集局に提供した。

この記事配信を受け、KK共同に報酬が支払われたのも事実か。やはり、PR活動の対価としての「紹介料」という名目か。

 そのとおりだ。

「ワセダクロニクル」の記事